2017 Fiscal Year Annual Research Report
Experimental and theoretical studies on function of single and multiple molecules
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16H04773
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
樋口 秀男 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (90165093)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茅 元司 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (00422098)
佐々木 一夫 東北大学, 工学研究科, 教授 (50205837)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ダイニン / キネシン / 運動 / 1分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
連続的に歩行を行うキネシン、ミオシンV、ダイニンの1分子運動の解析がこれまで多くなされてきた。これら三種類のモータータンパク質の運動特性を統一的に記述するために2つの状態を遷移する数理モデルを作成した。モーターはレールの上をその周期に等しい歩幅で移動し、両足結合状態から後ろ足がレールから解離すると片足状態になり、そこからレール(微小管やアクチン線維)の前方に着地して前方ステップを行い、両足結合状態に戻る。両足結合状態から前足が解離すると別の片足状態を経由して、レール後方に着地して後方ステップを行う。モータータンパク質にはレールに沿って外力が作用している場合を考えた。モデル計算の結果、単位時間あたりの後方ステップ数と前方ステップ数の比と平均ステップ時間の負荷依存性を2つの指数の和あるいは定数を加えた割り算で表すことができた。 単頭ダイニンのリンカースイングに伴う変異を光ピンセット法を用いて測定し、パワーストロークに伴いダイニンが微小管を動かす距離が8。3 nmであることを明らかにした。一方、低濃度ATPではダイニンが微小管を動かす距離が小さかった。ダイニンが結合してから変位反応を行うまでの過程は律速であり、反応速度は12 s-1と算出された。一方、単量体ダイニンがATP加水分解1サイクルにかかる速度9 s-1であり、確かに律速であることが明らかになった。さらに、二足歩行運動する二量体ダイニンを用いて、微小管結合時間を同様に測定解析した結果、最大力が1pN以下しか出ないという性質はこれまでの報告と一致し、微小管から解離する速度は23 s-1と算出された。 がん細胞(KPL-4)細胞内に量子ドットを結合し、小胞輸送を観察したところ、微小管に沿って回転するといった興味ある結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今回の大きな成果は、キネシン、ミオシンV、ダイニンの運動を統一的に記述できる新しい理論モデルができたことである。また、ダイニンのリンカースイングの実験もほぼ終わり、論文を投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
統一モデルを論文にまとめ、投稿するだけでなく、次に続くように、モデルの問題点を洗い出し、より深い物理モデルを提案する。ときに、特性距離は、物理式内の量であって、実際の距離との関連が不明確である。この点を明らかにすることで、歩行分子運動メカニズムの理解が大きく発展するものと思われる。 キネシンの広範囲の負荷領域での研究も開始し、面白い結果が出始めている。そこで、データーを増やすとともに、負荷領域を広げて行き、多くの現象を説明できる力測定とする。また、この実験は、統一モデルの検証実験にも相当するので、もし、モデルに一致しない部分が出てきたなら、モデルの部分補正を行う。 細胞の回転は、興味が持たれるが、アーティファクトではないことを多方面から検討する。
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Research Products
(8 results)