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2016 Fiscal Year Annual Research Report

細胞極性の形成における細胞膜張力の役割

Research Project

Project/Area Number 16H04785
Research InstitutionKobe University

Principal Investigator

伊藤 俊樹  神戸大学, バイオシグナル総合研究センター, 教授 (30313092)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywordsイノシトールリン脂質 / 細胞膜 / 細胞骨格 / 細胞運動 / がん
Outline of Annual Research Achievements

本研究では、細胞膜にかかる物理的パラメータである「膜張力」に着目し、細胞の形態形成と生理機能に必須の役割を担う「細胞極性」の成立を司るメカノシグナリングの分子実体を明らかにする。特に、頂底方向への明確な細胞極性をもつ上皮細胞を対象に、癌化に伴い活発な細胞運動能を獲得する「上皮間葉転換」における細胞膜張力の制御因子とセンサー因子を同定し、その作用機序解明を目指す。本研究によって得られる成果は、細胞極性の形成と制御に関わる全く新しい分子メカニズムの発見につながり、腫瘍悪性化の主因である浸潤・転移を引き起こす「上皮間葉転換」の新たな理解と、その予防・治療戦略に向けた従来にない分子基盤をもたらすことが期待される。
本年度はまず、細胞膜張力のマスターレギュレーターであるイノシトールリン脂質に焦点を絞り、その細胞内局在を可視化する上皮細胞株の樹立を行った。まず、PI(4,5)P2を認識するPLCδ1のPHドメインにmCherryタグを付加した配列、およびPI(3,4,5)P3を認識するAktのPHドメインにGFPタグを付加した配列を、P2A配列を挟んでタンデムに持つコンストラクトを構築した。piggybacトランスポゾンを用いて、このインサートをイヌ腎由来の上皮細胞であるMDCK細胞に安定的に導入し、2種類のイノシトールリン脂質分子種を同時にモニターするMDCK細胞株を樹立することに成功した。この細胞を共焦点レーザー顕微鏡で観察したところ、従来の報告に合致するように、PI(4,5)P2はアピカル面の細胞膜に、PI(3,4,5)P3はバソラテラル面の細胞膜に選択的に局在している様子が認められた。現在、この細胞株を用いて種々の処理を行いながら、癌化シグナルによる上皮細胞の極性変化に応じたイノシトールリン脂質分子種の動態を詳細に観察している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初、二種類のイノシトールリン脂質を同時にモニターする細胞株の樹立法として、レトロウィルス発現系を用いていたが、二種類の蛍光タンパク質タグを同時に発現する細胞株を得ることが出来なかった。そこで、トランスポゾンを用いた遺伝子導入法に切り替えたところ奏功し、困難な段階を克服することができたため。

Strategy for Future Research Activity

今後、さまざまなシグナル伝達異常による上皮細胞のがん化を模したアッセイ系を推進していく。上皮細胞のがん化に伴い、細胞極性の大幅な変化が観察されており、この過程におけるイノシトールリン脂質の質的及び量的な変化と、それによって制御される細胞膜張力の役割を明らかにしていく。

  • Research Products

    (2 results)

All 2017

All Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Invited: 1 results)

  • [Presentation] 細胞膜変形タンパク質によるアクチン重合と細胞運動の制御2017

    • Author(s)
      伊藤俊樹
    • Organizer
      第122回日本解剖学会
    • Invited
  • [Presentation] Role of membrane-bending proteins and tyrosine kinase in cell migration2017

    • Author(s)
      伊藤俊樹
    • Organizer
      The 1st Biosignal Research Center International Symposium
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2018-12-17  

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