2018 Fiscal Year Annual Research Report
四肢再生と皮膚の完全再生を可能にしている共通原理の解明
Project/Area Number |
16H04790
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
横山 仁 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (90455816)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 発生・分化 / 細胞・組織 / 動物 / 器官再生 / 発現制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では I.形態再生に関わる遺伝子群の特定 II.再生芽細胞の形成に関わる遺伝子群の特定 III. 器官再生を制御する遺伝子群の機能の実証 の3つの研究をツメガエルを対象にして行う。項目「I」「II」においてRNA-seqによってそれぞれ目的とする遺伝子群を特定した上で、項目「III」では局所的な遺伝子発現の操作技術を駆使して、特定の遺伝子群を成体の四肢や皮膚で発現させ、その再生能力を回復させることによって機能を実証する。 I.形態再生に関わる遺伝子の特定 ネッタイツメガエルの四肢サンプルでRNA-seqを行い、そのデータを解析することで、再生能力の高い幼生の四肢再生で特異的に発現量の多い遺伝子をリストアップした。そのうちのいくつかについてはin situハイブリダイゼーションにより発現パターンを確認した。 II.再生芽細胞の形成に関わる遺伝子群の特定 アフリカツメガエルの皮膚と四肢の再生サンプルからtotal RNAを抽出した。さらに皮膚創傷後に発現量が増加することが分かっているPrx1遺伝子について定量的PCRを行って発現量増加をチェックすることでtotal RNAの品質を確認した。また以前にマウスのゲノム配列を用いた遺伝子組換え個体で報告された、アフリカツメガエルの皮膚の再生過程でみられるPrx1遺伝子の四肢エンハンサーの活性化は、ツメガエルのゲノム配列を用いた遺伝子組換え個体でも再現できることを確認した。 III. 器官再生を制御する遺伝子群の機能の実証 前年度に引き続き四肢再生への機能が予想されているshh, lmx1などの遺伝子操作を行った。shhについては四肢のパターン形成に関わる下流遺伝子への影響を確認した。lmx1については遺伝子操作のための組換え体を作製した上で、まず四肢の発生に対する影響を観察した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
I.形態再生に関わる遺伝子群の特定 では実際に発現量に差がある遺伝子のリストアップを行うことができた。II.再生芽細胞の形成に関わる遺伝子群の特定 ではRNA-seqを実施するためのtotal RNAの準備までは完了した。次世代シークエンサーでのシークエンス作業までは行えなかったが、適切にサンプルを回収できていることをPrx1の定量的PCRによって確認することができた。III. 器官再生を制御する遺伝子群の機能の実証 ではI, IIで特定した遺伝子の機能解析には至っていないが、既知の遺伝子についての操作は行えるようになり、その影響を下流遺伝子の発現から確認することができた。以上のような状況を総合して、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
I.形態再生に関わる遺伝子群の特定 ではすでに発現量に差がある遺伝子をリストアップしたが、解析のベースになったゲノム情報のバージョンが更新されているため、確認のために最新バージョンのゲノム情報を用いて、遺伝子のリストアップ作業をもう一度行い結果を確認する。 II.再生芽細胞の形成に関わる遺伝子群の特定 では調整したtotal RNAを用いたRNA-seqを実施するが、それと並行してPrx1以外に皮膚と四肢の再生での共通した発現が予想されるいくつかの既知遺伝子についてin situハイブリダイゼーションでの発現観察を行う。 III. 器官再生を制御する遺伝子群の機能の実証 についてはレーザーによる発現誘導の技術を積極的に活用することで、局所的に発現誘導する精度をさらに高めることを試みる。
|
Research Products
(12 results)