2017 Fiscal Year Annual Research Report
Epigenetic modifications for reprogramming and chimeric competency of cells.
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16H04796
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
岡村 大治 近畿大学, 農学部, 講師 (80393263)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 始原生殖細胞 / 再プログラム化 / 遺伝子プロファイル / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
始原生殖細胞は精子や卵子へと分化そして受精を行うことで、他の細胞では見られない「全能性」を獲得し胚発生がスタートする。一方で、一般的に始原生殖細胞は精子・卵子への分化途上において「全能性」を発揮することはなく、仮に発揮された場合には胚内においてテラトーマと呼ばれる様々な分化細胞を含む腫瘍を形成する。つまり生殖細胞は受精までの過程で、将来の胚発生に必要な多分化能性を失うことなく且つそれを発揮することも許されない、非常に特殊な未分化性を内在していることが予想される。 分化運命決定後のマウス始原生殖細胞では、DNA脱メチル化やヒストン修飾など、様々なエピジェネティックな変化がゲノムワイドで認められる。それらは周りの体細胞では認められない変化のため、始原生殖細胞が将来全能性を獲得するための再プログラム化に重要なプロセスであると考えられてはいるが、現在までにその変化の一つ一つが始原生殖細胞のどのような性質の変化や再プログラム化に相関したものなのか、その生物学的な意義も含めほとんど分かっていない。 新規PGC(始原生殖細胞)由来細胞は新規性の高い多能性幹細胞であると考えられるので、RNAシーケンスを行い遺伝子プロファイルの比較解析が必須であると考えられた。昨年度までに我々は、始原生殖細胞の運命決定から間もない8.5日胚から生殖巣へと移動した12.5日胚のPGCsまで、複数の発生ステージの新規PGC由来細胞とEG細胞の樹立を行ない、新規PGC由来細胞とEG細胞の由来する発生ステージによる発現遺伝子の変化を、RNAシーケンスによってプロファイリングを行なった。その結果、新規PGC由来細胞とEG細胞との明確な違いや、由来する発生ステージに依存した遺伝子プロファイルの変化が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
それぞれの研究項目について、研究の進捗が見られた。昨年度までにRNAシーケンスによる遺伝子プロファイルの比較において、想定とは違う非常に特徴的な相違が認められたことから、本年度はそれら遺伝子プロファイルの違いを生み出すエピジェネティックな相違を見出すために、全ゲノムのメチル化解析を行った。その結果、新規PGC由来細胞株では従来型のEG細胞と比較して、グローバルな低メチル化状態にあることが判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の変更や問題点は特段認められないが、今後はこれまでにデータを収集したRNAシーケンスや全ゲノムメチル化解析などの大規模解析(Omics解析)の統合的な解析が求められる段階にあり、非常に専門性の高い、高度な解析技術が必要となってくる。他の研究者との連携も含めて検討を行い、早期の解決を目指す。
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Research Products
(2 results)