2017 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞から初期胚様構造を誘導するための新しい方法論の確立
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16H04799
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永樂 元次 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 教授 (40415097)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 幹細胞 / 自己組織化 / 局所制御 / 初期発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は昨年度までの研究成果に基づき、引き続きマウスES細胞から初期胚用の構造を誘導するための機器開発および誘導条件の探索を行なった。今年度はある条件で、ノードのマーカーであるFoxj1を発現する細胞を誘導できる事が明らかになった。Foxj1陽性細胞は上皮構造を有し、definitive endodermマーカーであるSox17陽性の上皮細胞に取り囲まれて存在し、繊毛の存在も確認した。また初期のカルシウム動態を観察した結果、20細胞程度の大きさの自発的なカルシウムカップリングが起こる事が確認された。この現象は分化誘導2日目以降にのみ観察された。定量的な解析の結果、これらのカルシウムカップリングの局所性と将来の神経分化パターンのあいだに有為な相関がある事が明らかになった。1400nm以上の長波長の光を感受できるカメラを搭載した赤外微分干渉顕微鏡を新たに設置し、ES細胞の分化過程における観察を行なった。通常のIR-DIC顕微鏡よりもより深くかつより鮮明に組織の内部状態を観察するkとが出来た。このシステムを使って、ES細胞の分化過程の画像を解析し、画像判定によって将来の分化パターンを予測するためのアルゴリズム開発を行なった。また、本研究で開発した局所刺激装置を用いて、ES細胞から誘導した肢芽様組織に背腹パターンを付与する事で、外胚葉性頂堤(AER)を局所的に誘導する事が出来る事を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでのところ予定通りに研究は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまでに開発した各技術要素を統合し、自動的にES細胞の分化状態を定量的に予測し、時空間的に自由度のたかい局所刺激システムを用いて、安定的に初期胚葉構造を誘導するシステムを構築する。また、誘導されたノード組織からnotochordやsomiteを含む軸構造を誘導するための実験系を構築する。さらに、前年度に設置したIR-DIC顕微鏡を用いた画像から、ES細胞塊の分化状態を予測するためのアルゴリズム開発を行なう。
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