2018 Fiscal Year Annual Research Report
多年生植物の有する維管束を介した新規冬季環境適応機構の解明
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16H04801
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐藤 忍 筑波大学, 生命環境系(副学長), 副学長 (70196236)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 根 / 短日 / 休眠 / 落葉樹 / 導管液 / 低温馴化 / 糖 |
Outline of Annual Research Achievements |
導管液有機物質がアポプラストを介して冬季の乾燥や低温に対する耐性を付与する新規メカニズムの解明を目指して以下の研究を進めた。 【導管液有機物質に関わる遺伝子の機能解明】 XSP25の組み換えタンパク質を作成し、それを用いて抗体の作成と物理化学的活性の検討を行った。抗体を用いてタンパク質の動態を調査したところ、屋外栽培の冬季のポプラの芽にXSP25タンパク質が多く含まれており、人工気象室中では短日および低温で茎葉にXSP25タンパク質が多く含まれていた。一方、組み換えXSP25タンパク質は、試験管内のアッセイで、乾燥による乳酸脱水素酵素の失活を抑制し、氷結晶の拡大を抑制する活性を有することが判明した。また、ショ糖輸送体SWEETの機能を遺伝学・分子生物学的に明らかにするため、RNAi法を用いて導管液関連遺伝子の発現を抑制した形質転換ポプラ(ハイブリッドアスペン)複数系統作出し、それらの育成および選抜を進めている。 【シュートで受容した短日の情報を器官間で伝達する新規の情報分子の機能解明】シュートから根への伝達因子を解析するため、短日を感受した葉で生産されて根へと輸送されるシグナルは葉の維管束(節部)で発現すると考えられる。そこで、長日および短日に置いたポプラの葉から調整したRNAを用いてsmallRNA-Seq解析を行い、短日で発現の上昇するmicroRNAを同定した。そこで、それらのmicroRNAをゲノム編集により不活性化した形質転換ポプラを複数系統作出し、それらの育成および選抜を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
根で発現するショ糖輸送体遺伝子の発現を抑制したRNAi形質転換ポプラおよび短日条件において葉で発現の上昇するmiRNA遺伝子をゲノム編集により不活性化したポプラを複数系統作出することに成功し、現在、それらの育成および選抜を進めているので。
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Strategy for Future Research Activity |
形質転換ポプラの選抜が終わり次第、それらにおける根の生長、凍結耐性等を調査する。また、miRNAに関しては、篩管液中に存在するかの確認と、ターゲットとなる遺伝子の根における発現を調査する。
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Research Products
(3 results)