2017 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular mechanism of photosynthetic acclimation by sensing environmental carbon and nitrogen
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16H04805
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福澤 秀哉 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (30183924)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 緑藻クラミドモナス / 二酸化炭素 / タンパク質リン酸化 / 無機炭素濃縮機構 / ピレノイド / カルシウム / 配偶子誘導 / チラコイド |
Outline of Annual Research Achievements |
炭素の枯渇に対して光合成を維持する無機炭素濃縮機構が誘導される事は既に示されていたが、重炭酸輸送体HLA3と葉緑体包膜のアニオンチャネルLCIAの発現が葉緑体チラコイド膜状に存在するカルシウム結合タンパク質に依存することから、レトログレードシグナルの存在が示唆されていた(Wang et al. PNAS 2016)。このCASの細胞内局在を高解像度イメージング技術で明らかにした(Yamano et al. Protoplasma 2018)。特にCO2欠乏条件でCASが葉緑体ピレノイド内部に陥入しているチラコイドと連結したピレノイドチューブに局在を変化させる事を蛍光タンパク質を用いて示した。 窒素センシング経路に関わる制御因子としてTAR1を発見し、酢酸を含む光混合栄養条件では脂質蓄積に対して正の制御を担うことを報告した(Kajikawa et al. Plant Physiol. 2015)。しかし、今回、光独立栄養条件においては、TAR1は脂質蓄積に対して負の制御を担うことを新たに見出した。また、tar1変異株は、窒素欠乏において野生株に比べて光合成を維持しており、細胞の生存性も高く保たれることが明らかになった。しかし変異株では、配偶子誘導が正常に起こらないことから、細胞の生存には有性生殖を介した環境応答機構にTAR1が寄与することを発見した。また、TAR1はin vitroでタンパク質リン酸化活性を持つことを示したが、と標的タンパク質の認識度面を決定し、ホスホプロテオーム解析によりTARの標的タンパク質を推定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
葉緑体内でカルシウム結合タンパク質が移動する現象は、これまでに報告例がなく全く新しい現象を見出しており、その移動に関する因子についても未解明な点を変異株の取得により解決できる可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
葉緑体内部から発せられるシグナルが核遺伝子の発現に関わる現象は、レトログレードシグナルと呼ばれており、その実体を明らかにできる事は植物科学の進展に貢献する。今後も変異株のスクリーニングと新奇制御因子の同定を進めていくことが、光合成の制御シグナルの解明に繋がる。
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