2018 Fiscal Year Annual Research Report
Prediction of cellular metabolism by chlorophyll fluorescence
Project/Area Number |
16H04809
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
園池 公毅 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (30226716)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 光合成 / 代謝 / シアノバクテリア / クエン酸回路 / レドックス状態 / クロロフィル蛍光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、細胞内の代謝の状態を、クロロフィル蛍光挙動の特定の特徴から定量的に推定するシステムを構築することを目的としている。平成29年度までの研究により、シアノバクテリアの細胞内のレドックス状態、すなわちNADPHの還元状態の変化が、クロロフィル蛍光挙動に大きく影響することが明らかになっていた。そのNADPHの酸化還元状態には、単に光合成や呼吸の代謝系が影響を与えるのみならず、例えば、アミノ酸の添加、有機酸の添加、アミノアシルtRNA合成酵素の欠損、栄養欠乏によって引き起こされる緊縮応答といった代謝変化を引き起こす様々な処理が影響することがわかってきた。今年度は、このような変化の相互作用を幅広く解析するために、クエン酸の添加と緊縮応答の影響を調べることとした。クエン酸は、クエン酸回路の出発物質であり、回路によりイソクエン酸へと変化する。このイソクエン酸は、光化学系量比の調節に異常を持つ遺伝子破壊株が生育異常を引き起こす条件で蓄積することが知られていることから、純粋に代謝の異常だけの影響だけではなく、光化学系量比の調節にも影響を与える可能性がある。得られた結果から、クエン酸の添加により光化学系Ⅰ量の相対的な減少が観察され、この光化学系量比の変化は、イソクエン酸量の変化が引き金になっている可能性が示唆された。また、緊縮応答に関しては、この応答にかかわるspoTとppX遺伝子の変異株において細胞内レドックス状態の変化が見いだされた。これはおそらく、解糖系とペントースリン酸経路の変化が関与していると考えられる。これまでの結果を考え合わせると、細胞内の代謝の中で、炭素代謝が光合成への影響に中心的な役割を果たすのみならず、窒素の取り込みなどの炭素代謝と窒素代謝のクロストークが、細胞内のレドックス状態に大きな影響を与え、これが結果としてクロロフィル蛍光に影響を与えているのだと結論できる。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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