2016 Fiscal Year Annual Research Report
植物の生態型分化機構研究:アキノキリンソウ群多様化の比較ゲノム解析
Project/Area Number |
16H04827
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 元己 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (00193524)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧 雅之 東北大学, 学術資源研究公開センター, 教授 (60263985)
阪口 翔太 京都大学, 人間・環境学研究科, 助教 (50726809)
久保田 渉誠 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (10771701)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 生態型分化 / アキノキリンソウ / ゲノム解析 / 種分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
アキノキリンソウの各生態型からそれぞれ3株ずつ、合計21個体について、SSR遺伝子座16座からヘテロ接合度を算定した。その結果、ハチジョウアキノキリンソウが最もヘテロ接合度が低く、次いでアオヤギバナが低かった。この結果を踏まえ、ハチジョウアキノキリンソウ、アオヤギバナ、アキノキリンソウを各2個体、合計6個体をIllumina HiSeq を用いて全ゲノムのショートリード解析を行い、全ゲノム領域におけるヘテロ接合度を見た。その結果、ハチジョウアキノキリンソウの1個体が全ゲノム配列決定のリファレンスを作成するのに最も適していると判断された。なお、アキノキリンソウ群では全体的にヘテロ接合度が高いため、このリファレンス個体の決定が遅れ、28年度の研究期間を延長した。全ゲノム配列決定のため、同個体から高純度・低切断DNAを抽出し、PacBio RSIIを用いたロングリード解析を行った。また、エラー率の低減のため、並行してIllumina HiSeqによるショートリード解析を行った。その結果、全ゲノム配列の約65%のカバー率を達成した。さらに、遺伝子カバー率をみるため、多様な器官から抽出したRNAを用いてRNAseq解析を行った。その結果、遺伝子カバー率は80%を超えていた。 形態的、生態的および生理的特徴とゲノム内の遺伝的変異との関連を解析するため、各生態型とアキノキリンソウを交配し、F1 の作成を行った。得られたF1株はさらに相互交配を行い、形質の分離および遺伝子との相関を見るのに用いる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アキノキリンソウ群では全体的にヘテロ接合度が高いため、どの個体をリファレンス個体に用いるかの決定が遅れた。これは、、アキノキリンソウ群は他殖が中心であるためである。そのため28年度の研究期間を延長した。
|
Strategy for Future Research Activity |
多数の個体のヘテロ接合度をスクリーニングすることにより、全ゲノム配列を決定するリファレンス個体を決定した。研究期間を延長したので28年度の計画は遂行でき、29年度の研究計画は問題なく行えた。
|
Research Products
(2 results)
-
-
[Presentation] 早期開花性を獲得した蛇紋岩型アキノキリンソウの集団分化と局所適応2018
Author(s)
阪口翔太, 堀江健二, 石川直子, 永野惇, 本庄三恵, 工藤洋, 福島慶太郎, 成田あゆ, 山崎理正, 井鷺裕司, 伊藤元己
Organizer
日本生態学会第64回全国大会(2017年3月14-18日, 東京都新宿区)