2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H04828
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 幹子 東京工業大学, 生命理工学院, 准教授 (40376950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越智 陽城 山形大学, 医学部, 准教授 (00505787)
岡部 正隆 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (10300716)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 進化 / 進化発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
脊椎動物は陸上へと進出したことで、高濃度の酸素環境に曝されるという環境ストレスに直面することになった。本研究では、脊椎動物が陸上に進出し、高い酸素ストレスに曝されたことで、四肢のプログラム細胞死という新しい形態形成システムが獲得されたとする形態進化のモデルを検証し、その獲得プロセスを明らかとすることを目的に研究を行っている。 研究代表者らは、平成29年度までに、当初の計画通り、(1)ニワトリ胚の肢芽における細胞死と ROS、血管、及び DNA ダメージの比較、(2)アフリカツメガエル幼生の肢芽における細胞死と ROS、血管、及び DNA ダメージの比較、(3)アフリカツメガエル幼生の肢芽における細胞死経路関連遺伝子の発現解析、(4)ニワトリ胚の肢芽における ROS の機能解析、及び(5)低酸素濃度環境がニワトリ胚の肢芽の細胞死に与える影響の検証のすべてを終わらせていた。平成30年度は、(6)アフリカツメガエル幼生の肢芽の血管網の人為的高密度化がプログラム細胞死に与える影響の検証、及び(7)幼生が水棲、および陸棲の各種両生類の肢芽における細胞死と ROS、及び、血管網の比較を行った。 その結果、人為的に血管網を高密度化したアフリカツメガエル幼生では、指間細胞死が増加することを明らかにした。さらに、当初、国内に生息しないことから、成果を得るまでに時間がかかると想定していた幼生期に陸棲の両生類胚については、ハーバード大学の James Hanken 氏との共同研究にすることで、陸棲の両生類の肢芽においては、指間領域に細胞死が確認できること、細胞死をおこしている細胞では高レベルの ROS の産生が見られること、さらに、指間での血管網の密度が高いことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成30年度までに行うとしていた上記概要の(1)から(6)のすべての項目の研究を終わらせただけでなく、研究計画の発案当初は難しいと思われた異種生物(ニワトリ胚とアフリカツメガエル幼生)間での指間組織の組織内酸素濃度を定量的に比較する手法を確立することができたことから、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度までに、計画書に記載した研究項目はすべて遂行し、結果を得ることができているため、最終年度は、各種生物について、細胞死、血管、ROS について、より詳細なデータの収集に務める。具体的には、データを定量的に解析する手法を確立し、異種生物間で得られたデータを数値化して、比較することを試みる。また、平成30年度には、計画提案当初は難しいと思われていた異種生物間の組織での酸素濃度を定量的に計測する手法の確立に成功していることから、この手法を用いて、環境酸素濃度の変化が組織内酸素濃度の変化を引き起こすかを定量的に比較することにも挑戦する。
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Research Products
(17 results)