2016 Fiscal Year Annual Research Report
ソルガムのバイオリファイナリー最適化育種の基盤となる高糖性と開花期の研究
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16H04859
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐塚 隆志 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 准教授 (70362291)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ソルガム / 高糖性 / 開花期 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究を遂行するため、次の2つのことを行った。 (1)試験地と試験施設:名古屋大学大学院生命農学研究科附属東郷フィールド科学教育研究センター(愛知県愛知郡東郷町)敷地内に精密温室を設置した。精密温室は、天井ビニールによって降雨を防ぎ、各畝に潅水チューブを設置し、潅水量を制御できるなどの工夫をした。 (2)染色体部分置換系統を用いたqBRX-6遺伝子のクローニング:平成27年度(単年度)の挑戦的萌芽研究では、染色体部分置換系統SL-6を用いてqBRX-6候補領域の絞り込みを行い、この結果、順調な結果が得られた。そこで本試験では、このSL-6由来のマッピング集団を用いて大規模展開を行った。この染色体部分置換系統SL-6は、低糖性ソルガム品種(74LH3213)とスイートソルガム品種(SIL-05)を交配したF1個体に74LH3213を連続戻し交雑を行い得られた系統である(申請書図5参照)。この過程では高糖性遺伝子座であるqBRX-6が残存するように、各戻し交雑後の幼苗育成の段階で、この遺伝子座に設置したDNAマーカーを用いてqBRX-6残存個体を選抜し固定した。この後代は、qBRX-6遺伝子座が分離するので、qBRX-6遺伝子のマッピング材料として供試した。また、このマッピングによりMa1/SbPRR37との座乗位置関係を明らかにした。 この候補領域の絞り込みと平行して、次世代シーケンサーによってスイートソルガム品種のゲノムをリシーケンシングし、mRNAをRNA-seq法で解析することで発現プロファイル情報を収集した。スイートソルガム品種として、qBRX-6を有するSIL-05を選定し、栄養生殖期(糖蓄積前)、開花日(糖蓄積前)、開花後15日(糖蓄積中)のサンプリングを行い、RNA-seq解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
qBRX-6遺伝子座が分離する染色体部分置換系統SL-6由来の分離集団(BC4F2及びBC5F2)を用いて、qBRX-6遺伝子座の絞り込みを行った。マッピングでは、qBRX-6遺伝子座に染色体組換えを起こした14系統を選抜した。これら系統の自殖後代(BC4F3及びBC5F3)14系統を選抜評価した。この育成および選抜は、名古屋大学大学院生命農学研究科附属東郷フィールド科学教育研究センター敷地内に設置した精密温室内にて行った。この結果、同じヘテロ領域由来で74LH3213型に固定された系統とSIL-05型に固定された系統の比較において、Brix値の分離が見られたものが5系統あった。この形質評価値とジェノタイピングデータを用いて連鎖解析を行ったところ、原因遺伝子の候補領域を15kbに絞り込むことに成功した。そこでこの候補領域について、ソルガムゲノム配列データベースを参照したが予想タンパクコード領域が推定されていなかった。この理由として考えられたのは、このデータベースはBTx623という低糖性ソルガムのゲノム配列であり、スイートソルガムではこの領域のゲノムDNA配列が異なるという可能性であった。そこで、この候補領域を含むSIL-05のBACライブラリーのスクリーニングを行い、次世代シーケンスによるリシーケンシングを行った。この結果、SIL-05ゲノムの候補領域内において、新たに5つのタンパクコード領域(ORF)が予測された。この5つのORFはいずれも100bp以下の小さいORFであり、既知遺伝子との相同性も見つからなかった。また、リシーケンシングでは配列決定できない領域があった。今後は、この未同定領域の配列決定を進めるとともに、この候補領域の下流の遺伝子の発現、またマッピングの再現性について慎重な検討が必要と考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究では、染色体部分置換系統SL-6を用いてqBRX-6候補領域の絞り込みを行ったが明確な遺伝子同定までは至らなかった。そこで平成29年度の研究でも続けてクローニングを進める。マッピング集団はマッピング精度を高めるため、準同質遺伝子系統(Nearly Isogenic Line; NIL)作出を目指し、74LH3213 x SIL-05(BC5F1)を交配作出し、その後代のqBRX-6分離集団であるBC5F2集団を作出する。 また、搾汁液の糖度と開花期の関係性を明らかにする。SL-6について第6染色体に座乗するソルガム開花遺伝子Ma6/SbGhd7をシーケンスしたところ、SIL-05型であった。このSIL-05型アリルの配列をイネのGhd7と比較したところ、変異型(sbghd7)と考えられた。一方、74LH3213型アリルをシーケンスしたところ、その配列から野生型SbGhd7と考えられた。そこで、このsbghd7が座乗する短腕を74LH3213に置換した系統(ここではSL-6sと呼ぶことにする)を作出し、実験に供試する。このSL-6とSL-6sは、それぞれSbGhd7及びsbghd7を有するので開花期が異なるが、他のゲノム背景はほぼ同じとなる染色体部分置換系統である。この二系統の稈搾汁液の糖度を比較する。これら実験により、出穂期と糖度との関係性を明らかにする。 このSbPRR37遺伝子のSIL-05アリルは、子実型ソルガム(低糖性)にはない多数のSNPを有するアリルであること、また、SbPRR37遺伝子は、生物時計を担う遺伝子であり、ショ糖の転流との関係性も指摘されていることから、開花期の表現型のみではなく、高糖性との関連性も考慮に入れて慎重に実験を進める予定である。 以上の実験から、(ア)高糖性遺伝子座qBRX-6の責任遺伝子の同定、(イ)搾汁液の糖度と開花期の関係性を明らかにする。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Sorghum Dw1, an agronomically important gene for lodging resistance, encodes a novel protein involved in cell proliferation.2016
Author(s)
Yamaguchi M, Fujimoto H, Hirano K, Araki-Nakamura S, Ohmae-Shinohara K, Fujii A, Tsunashima M, Song XJ, Ito Y, Nagae R, Wu J, Mizuno H, Yonemaru J, Matsumoto T, Kitano H, Matsuoka M, Kasuga S, Sazuka T.
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Journal Title
Sci Rep.
Volume: 6
Pages: 28366
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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