2017 Fiscal Year Annual Research Report
イネ胚乳におけるアリューロンおよびデンプン性胚乳細胞分化メカニズムに関する研究
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16H04861
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
服部 束穂 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 教授 (10164865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 真 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 准教授 (00432253)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 胚乳 / 並層分裂 / トランスクリプトーム / 細胞増殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
イネ種子の胚乳は、主に、内部のデンプン性胚乳(SE)と最外層(基本的に1細胞層)にあるアリューロン(AL)層から構成されている。胚乳の発達に伴いその最外層細胞は、垂層分裂と並層分裂の両方を行う。前者は等分裂であるが、後者では生じた娘細胞のうち内側に配置されたものはSEに分化する運命をもつが、外側娘細胞は同じ性質を保ちつつALに分化していく。本研究では、申請者が新規に同定したALが複層化する変異体aal1、ならびにALがSE部位に異所分化する変異体aal2についての詳細な解析を中心に、イネ胚乳の細胞分化制御の分子メカニズムを明らかにすることを目的としている。 29年度はaal1について、原因遺伝子の性質を念頭に置きつつ、成熟種子および発達過程の組織・細胞学的表現型およびトランスクリプトームレベルの表現型を解析した。その結果、aal1胚乳では野生型に比して細胞層数が顕著に増加しており、細胞増殖の減速あるいは停止のタイミングが遅れることが、その原因であることが明らかになった。最外層での並層分裂で生じた内側娘細胞がSEへと分化しうるタイミングには期限があり、これを超えて起きた分裂で生じた細胞はSE運命を獲得できず、ALに分化すると仮定すると、変異体の表現型を説明しうる。野生型とaal1の7DAF胚乳のトランスクリプトーム比較を行うと、変異体においては、細胞周期関連遺伝子の発現増加が見られる一方、SE分化のマーカーとなるSE型貯蔵タンパク質遺伝子群の発現は顕著に低下していた。この結果は、細胞増殖の継続とSE分化の遅延を裏付ける。そのほか、aal2についてもCRISPR/CAS9法を用いて原因遺伝子候補の機能喪失変異体を作成したところ、aal2表現型が再現され、原因遺伝子の確定に至った。さらに、AAL2が核小体に局在することを明らかにし、その相互作用タンパク質に関する解析も進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2つの変異体の原因遺伝子の特定に成功し、コードタンパク質の分子的性質や、変異体の組織細胞学的表現型を明確にすることが出来た。さらに胚乳発生・細胞分化におけるレトログレードシグナリングの関与や核小体機能の重要性などの新知見を得ることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに詳細なトランスクリプトーム解析など成果とりまとめに必要な実験を中心に、研究計画にのっとって課題を推進していく。
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Research Products
(2 results)