2018 Fiscal Year Annual Research Report
Photosynthetic acclimation and adaptation of C4 grasses to low light environments
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16H04868
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
上野 修 九州大学, 農学研究院, 教授 (70414886)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | C4植物 / 光合成 / 弱光順応 / イネ科 / 維管束 / 葉 |
Outline of Annual Research Achievements |
C4植物はC3植物に比べ強光・高温環境で高い光合成能を発揮するが、C4光合成の高いエネルギー要求性のため弱光環境での生育は不利となり、C4植物は日陰にはほとんど生育しない。しかし、少数ながら陰性環境に適応したC4植物が知られている。本年度は、耐陰性イネ科C4植物のオガサワラスズメノヒエ(Paspalum conjugatum)に着目して、C4植物の弱光への順応性を検討した。 P. conjugatumとコントロールのトウモロコシをポットで育成後、寒冷紗を用いて4週間遮光処理を行い(強光、中光、弱光)、この間に形成された葉について内部構造と生理特性を調査した。樹脂包埋した葉片より横断切片を作成し、光顕と電顕で観察した。また、葉の中間部について葉全体のパラフィン横断切片を作成して、維管束師部の発達程度を評価した。光合成ガス交換、窒素、クロロフィル含量等を測定した。 P. conjugatumの葉では、どの光条件でも小維管束の構造は変異に富み、維管束鞘の内側に師部と木部を持つもの(通常の小維管束)、師部が退化し導管しかないもの、師部木部ともに完全に退化し維管束鞘細胞しかないもの(いわゆるdistinctive cell)まで見られた。この内、師部が退化した維管束の割合は弱光になるほど増加した。一方、トウモロコシではこのような形態反応は起こらず、維管束は常に師部と木部を保有していた。両種ともに光合成速度、葉の窒素含量、クロロフィル含量、葉厚、比葉面積は弱光になるほど低くなったが、生育光強度の影響はP. conjugatumよりもトウモロコシの方が大きかった。以上より、P. conjugatumは弱光への順応力が高く、弱光下での低い光合成速度に対応して、維管束師部の発達を抑制していると考えられた。緻密な維管束系をもつC4植物葉では、弱光下で光合成速度や転流速度が低くなると、生理的に活発な師部を保持することはエネルギー的に不利になるためであると推察された。
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Research Progress Status |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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