2019 Fiscal Year Annual Research Report
光応答にからむ果実生理へのABA依存性の解明およびABAのオキシリピンへの影響
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16H04872
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
近藤 悟 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 教授 (70264918)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池浦 博美 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 准教授 (10440158)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アブシシン酸 / 光 / アントシアニン / ブドウ |
Outline of Annual Research Achievements |
ブドウ果粒はベレゾーン期を境に成熟が進むが、この際にアブシシン酸(ABA)の増加が見られるため、ブドウ成熟への関与を示す多くの報告がある。本課題では果房に対してABA合成阻害およびABA受容体阻害を行い、ブドウ果実のアントシアニン合成に及ぼす影響について検討した。また光質とABA受容体との関連も検討した。 露地圃場に植栽の20年生ブドウ’巨峰’を供試して実験を行った。満開後38日および48日(ベレゾーン)に以下の処理を行った。各処理区とも樹上で果房ごとに浸漬処理を行った。実験1:果皮を満開後38日、48日、58日および68日に採取し、ABA濃度およびアントシアニン合成に関与する遺伝子発現を検討した。内生ABAはGC-MS、遺伝子発現はリアルタイムPCRにて分析した。1:ABA合成阻害区、2:ABA受容体阻害区、3:無処理の3区を設け、果房を対象に処理を行った。内生ABA濃度はABA合成阻害区では減少したが受容体阻害区では対照区と有意差がなかった。一方アントシアニン濃度は両処理区で減少した。これらの結果は内生ABAおよびABA受容体がブドウの着色に影響している可能性を示唆した。実験2:光質と内生ABAおよび受容体との関連について検討した。1:青色光照射、2:青色+赤色光照射、3:無処理の3区を設けた。1:青色光および2:青色+赤色光照射区では、受容体の働きを阻害する遺伝子の発現を抑制した。この結果は光質がABA受容体関連遺伝子の発現に影響することを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本試験では果房でのABA合成阻害および受容体の働きの阻害がブドウのアントシアニン合成に影響することを確認した。また光質も受容体の働きに影響を及ぼすことが明らかとなった。これらはブドウの着色へのABAの関与を示すもので有り、ABAの役割を明確化していく上で重要と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
アブシシン酸はオキシリピン同様、様々な環境からのストレスに関与している生理活性物質である。太陽光利用型植物工場では病害の発生が大きな問題となるため、アブシシン酸の蓄積あるいは蓄積阻害および光質とブドウの病害抵抗性およびオキシリピンとの相互関連性を検討する。
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Research Products
(3 results)