2017 Fiscal Year Annual Research Report
大規模変異体集団を活用した根寄生植物抵抗性トマト系統の同定
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16H04875
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
青木 考 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (30344021)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Cuscuta / 細胞壁 / 維管束 / 寄生植物 / 抵抗性系統 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度の研究においては、第一にナショナルバイオリソースプロジェクト(トマト)から分与を受けたマイクロトム突然変異誘発系統を用いて、オロバンキ・エジプティアカ抵抗性系統の選抜を継続して実施した。寄生不適合性宿主系統の解析により報告されている根内皮組織に着目した選抜を実施し、内皮形状とカスパリ―線の形態の差異から根内皮変異系統を探索した。平成29年度には2000系統のEMS突然変異誘発個体を選抜し、内皮自家蛍光に異常の見られる505個体を一次選抜し、この中から内皮形質異常が確かな88個体を更に選抜し、これらから採取した次世代植物体において寄生試験を実施したところ、2系統において寄生率が低減していた。第二に、トマト野生近縁種からの寄生抵抗性系統探索を実施した。Solanum pennelliiとSolanum peruvianumが抵抗性を持つことがわかった。第三に、ストリゴラクトン合成酵素欠損系統の寄生抵抗性評価を実施した。この系統は発芽は抑制するが、根に付着したオロバンキの吸器侵入過程は阻害しないことがわかった。第四に、オロバンキと宿主とのシンプラスミックな接続形成の機構を解析した。オロバンキ吸器内においてシンプラスミック接続経路は篩管要素に分化しておらず、細胞間移行によりGFPが輸送されていることが示唆されていたが、細胞核分解に関わる遺伝子群は正常に発現していること、篩管分化に関わるブラシノステロイド経路遺伝子群の発現が低下していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トマトの野生近縁種2種ならびにEMS突然変異誘発系統2系統から寄生抵抗性が見出されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロトム突然変異誘発系統からのオロバンキ・エジプティアカ抵抗性系統の選抜に関して、今後同定された抵抗性系統の再現性を確認したうえで、ゲノム配列解析を行なって、抵抗性の原因となっている遺伝子の同定に進む予定である。野生近縁種については、抵抗性を示したS. pennelliiの近交系統76系統を用いて、抵抗性に寄与しているゲノム領域を狭めていく予定である。
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Research Products
(9 results)