2016 Fiscal Year Annual Research Report
根粒菌エフェクターによるマメ科植物新規共生経路の解明
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16H04889
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
岡崎 伸 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40379285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 誠 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, チームリーダー (30291933)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マメ科植物 / 根粒菌 / 共生 / 3型分泌系 / エフェクター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、根粒形成シグナルを活性化するエフェクターORF5208の生化学的解析、ORF5208と相互作用する宿主側標的タンパクの同定、ORF5208により活性化される宿主側遺伝子の同定により、根粒菌エフェクターによる新しいマメ科植物-根粒菌共生経路の解明を目指している。今年度の研究実績の概要は以下のとおりである。 1. 根粒菌エフェクターORF5208の生化学的解析・・・大腸菌でのORF5208発現系を検討した。二種類の大腸菌用発現プラスミドにORF5208をクローニングして発現を誘導し、SDS-PAGEで確認した結果、ORF5208の分子量に近いタンパク質の存在が確認できた。しかしながら発現量が極めて少なく、酵素活性測定などの生化学的解析には至っていない。現在、培地や別の発現ベクターなど発現量を高めるための条件を検討中である。 2. 根粒菌エフェクターを発現するマメ科植物形質転換毛状根の作出と根粒形成能の評価・・・ミヤコグサユビキチンプロモータの下流にORF5208遺伝子を挿入したバイナリーベクタを作成した。ミヤコグサGifu B-129およびMG-20の毛状根でORF5208を過剰発現させたが、根粒菌非接種下での自発的根粒形成はみられなかった。 3. エフェクターORF5208の異種根粒菌への導入とその共生能の評価・・・ORF5208をトランスポゾンで根粒菌Bradyrhizobium japonicum USDA110株とBradyrhizobium sp. STM6978株に導入した。USDA110株ではORF5208導入株と野生株で共生能に変化はみられなかったが、STM6978株では野生株がダイズEn1282に根粒を形成できないのに対し、ORF5208導入株では根粒形成がみられた。この結果から、ORF5208が根粒菌株依存的に共生シグナルを活性化することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
以下の理由により、本課題の進捗はやや遅れていると判断した。 1. ORF5208の生化学的解析を行うために必要なORF5208タンパク質を調製するために大腸菌でのORF5208発現系を検討したが、発現量が極めて少なく、酵素活性測定などの生化学的解析に十分な量を確保できていない。 2. ミヤコグサを用いて根粒菌エフェクターを発現する形質転換毛状根を作出したが、根粒菌非接種下での自発的根粒形成はみられなかった。この結果はミヤコグサの根粒形成にはORF5208以外の因子(例えば、他のエフェクターや根粒菌由来の未知シグナル)が必要である可能性を示唆している。今後ミヤコグサを使った解析を行う上では、ORF5208以外の因子を同定するか、根粒菌を接種する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 根粒菌エフェクターORF5208の生化学的解析 生化学的解析に十分量のORF5208タンパク質を得るため、大腸菌でのORF5208発現系条件を検討する。具体的には培地成分や温度、別の発現ベクターなどを検討する。 2. ミヤコグサではORF5208発現形質転換毛状根において自発的根粒形成がみられなかったため、今後は根粒菌接種下での根粒形成を解析する。また、ダイズでの解析を進める。
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Research Products
(11 results)