2018 Fiscal Year Annual Research Report
Basic studies on innovative production process of biofuel by an extreme oligotroph
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16H04897
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
吉田 信行 静岡大学, 工学部, 准教授 (10273848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新谷 政己 静岡大学, 工学部, 准教授 (20572647)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 低栄養性細菌 / ABCトランスポーター / トレハロース |
Outline of Annual Research Achievements |
「超低栄養性細菌Rhodococcus erythropolis N9T-4株の低栄養生育に必須なトランスポーターの解析」 R. erythropolis N9T-4株は炭素・窒素・硫黄源無添加の無機塩からなる固体培地で良好に生育する超低栄養性細菌である.本菌をバイオ燃料生産菌として利用するためには,基礎的な炭素およびエネルギー代謝の理解は必須である.本菌は低栄養生育時に大気中の二酸化炭素を利用することは明らかであるが,二酸化炭素固定の際に必要となるエネルギーはどこから得るのかは不明である.そこで,低栄養生育時に必要なものを特異的に取り込むトランスポーターが存在していると仮定して,低栄養条件で特異的に発現するトランスポーター遺伝子の検索および機能解析を試みた. これまでに行ったトランスクリプトーム解析結果を改めて精査すると,低栄養条件で3つのABCトランスポーター遺伝子(群)が特異的に発現していることを見いだした.ABCトランスポーター系はパーミアーゼ,基質結合タンパク質,ATP結合タンパク質から成ることが知られているが,このうち基質結合タンパク質が低栄養生育を解析するに当たり最も重要であると考え,3つの基質結合タンパク質をコードする遺伝子(sbp1, sbp2, sbp3)の破壊を試みた.その結果,sbp1破壊株が低栄養条件での生育が親株と比べ低下していることが明らかとなった.様々な検討の結果,検討した3つのトランスポータはトレハロースの取り込みに関与していることが予想され,特にSbp1は細胞壁を合成する際のトレハロースリサイクリングシステムに関与することが予想され,低栄養生育と細胞壁合成との関係が明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究においては,本菌のエネルギー代謝の解明を目的として,大気中からエネルギー源あるいは炭素源の取り込みに関与するトランスポーターを検索することが当初の目的であった.低栄養特異的に発現しているいくつかのトランスポーターを解析したが,エネルギー獲得に関与するものは見いだせなかった.しかしながら,検討したトランスポーターのうち,1つが細胞壁合成に関与するトレハロースの取り込みに関与することを明らかにした.これはトレハロースが輸送媒介となるミコール酸を含む細胞壁の合成が重要であることを示すものであり,実際に蛍光顕微鏡観察などでミコール酸を含む細胞壁が低栄養条件下で顕著に増加することを明らかにした. 最近,グラム陽性菌であるマイコバクテリウム属における細胞壁構造が明らかにされつつあり,そのミコール酸層が特徴的であることが分かっている.本研究は同じグラム陽性菌であるRhodococcus属細菌におけるミコール酸層の重要性を初めて明らかにしたものであり,当初目的とした成果ではないものの,学術的に重要な知見が得られたと考えている.従って,全体的には「おおむね順調に進展している」と評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように,本研究成果で同定したABCトランスポーターは本菌の炭素,エネルギー代謝と直接的な関連性は低いと考えれる.しかしながら,低栄養生育時には必須であり重要な役割を果たすと考えられるため,今後は以下の2点に着目しながら研究を進めて行く. 1. トレハロース輸送ABCトランスポーターの高発現 Sbp1は低栄養生育時に必須なトレハロース輸送ABCトランスポーターを構成することが判明したので,本遺伝子を高発現させることにより低栄養性が向上できるか検証する. 2. 低栄養特異的トランスポーターの検索(継続) 本年度で検討したもの以外に,発現は劣るものの可能性があるトランスポーターがいくつか存在する.それらについて,遺伝子破壊など同様の方法で検討を進める.
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Research Products
(4 results)