2016 Fiscal Year Annual Research Report
嗜好味受容体発現細胞を用いた呈味調節物質の探索とその作用機序の解明
Project/Area Number |
16H04918
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三坂 巧 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (40373196)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 食品 / 食品機能 / 嗜好性 |
Outline of Annual Research Achievements |
食品の味はその価値を決定づける重要な因子である。近年同定された味覚受容体の機能解析により、官能評価に依らない味物質の評価が可能となり、詳細な味物質受容メカニズムも解析可能となった。本研究においては、複合的な物質投与に対する味覚受容体の応答評価を、嗜好味(甘味・旨味)を担う味覚受容体を対象として実施することで、どのような相互作用が発生しうるかを明らかにすることを目的としている。
・大規模な甘味受容体応答評価の実施 GPCRファミリーに属する味覚受容体のうち、ヒト甘味受容体については、蛍光カルシウム指示薬を用いたセルベースアッセイ法の適用が可能である。多様な構造を有する化合物を単独で投与した際の受容体活性化の有無に加え、甘味物質と同時に投与した時にその活性を増強・減弱するかどうかについても、検討を行った。数百種類の物質を対象に①単独での投与、②甘味物質との共投与、を行ったところ、単独で甘味受容体を活性化する物質以外に、甘味増強あるいは甘味減弱作用を示す物質の存在が示された。各物質について、最適な投与濃度の決定を行うとともに、濃度応答関係についても、今後、解析を行う。 ・味覚受容体応答評価系に関する改良 蛍光指示薬ベースの測定では、色素や自家蛍光物質が含まれている場合については、蛍光強度の測定に支障が出てしまう。これを解消する一つの手段が発光タンパク質を用いた発光測定であり、すでに旨味受容体発現細胞で実証している。この手法を他の受容体へ適用するため、発光タンパク質との共導入条件の検討、測定条件の最適化について検討を実施した。その結果、甘味や苦味受容体を用いた場合においても、発光タンパク質を用いた発光測定により評価が可能となった。応答感度についても蛍光測定系とおおむね大きな相違はないことが判明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に沿った解析が実施できているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度以降の計画について、順次、進行していく。
|
Research Products
(2 results)