2016 Fiscal Year Annual Research Report
定性かつ定量的な解析に基づくスフィンゴ脂質の消化管吸収機構と体内動態の解明
Project/Area Number |
16H04923
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
菅原 達也 京都大学, 農学研究科, 教授 (70378818)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
都築 毅 東北大学, 農学研究科, 准教授 (00404848)
安藤 晃規 京都大学, 農学研究科, 助教 (10537765)
真鍋 祐樹 京都大学, 農学研究科, 助教 (20730104)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | スフィンゴ脂質 / 消化管吸収 / 安定同位体 |
Outline of Annual Research Achievements |
スフィンゴ脂質の食品機能性が注目されているが、消化管吸収機構を含めて、未だ不明な点も多く残されている。したがって、定性かつ定量的な解析に基づくスフィンゴ脂質の消化管吸収機構と体内動態の解明は不可欠といえる。そこで本研究では、安定同位体ラベル化物を用いたLC-MS解析を応用することで、経口摂取されたスフィンゴ脂質の消化管吸収における未知の機構を明らかにするとともに、体内動態と代謝的構造変化を詳細に解明しようとした。 本年度は、高度不飽和脂肪酸を生産することが見出されており、多くの変異株の解析や分子育種法の確立がなされている糸状菌Mortierella alpinaを用いて、安定同位体ラベル化したスフィンゴ脂質の作成を検討した。その結果、構成炭素をすべて安定同位体ラベル化したグルコース(13C-グルコース)で培養することで、菌体によって生合成される内因性スフィンゴ脂質(グルコシルセラミドとセラミド)のラベル化が可能であることが分かった。その置換率は分子種にもよるが、約50%程度であった。気相を窒素で置換することでより置換率を向上できることも示されたが、菌体の増殖が低下することもわかった。 また、P-タンパク質阻害剤を用いて、in vivoにおけるスフィンゴイド塩基吸収選択性に対するP-タンパク質の関与を調べた。ラット胸管リンパカニューレ手術を行い、代表的な植物由来スフィンゴイド塩基として4,8-スフィンガジエニンの吸収を解析したところ、P-タンパク質阻害剤によって、スフィンガジエニンの吸収が増加した。したがって、スフィンガジエニンの吸収にはP-糖タンパク質が関与することが、個体レベルで明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、菌体を用いた安定同位体ラベル化スフィンゴ脂質(グルコシルセラミドとセラミド)の作成に成功した。また、動物試験により、スフィンゴ脂質の吸収にP-糖タンパク質が関与することを個体レベルで初めて示すことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、消化管吸収機構の解明に向けた検討を進める。平成29年度には安定同位体ラベル化したスフィンゴ脂質のより詳細な構造解析を行う。また、同位体ラベル化スフィンゴ脂質を実験動物に経口投与し、体内からの検出を試みることで、吸収と代謝の解明に用いるための検討を進める。さらに菌体の大量培養により、安定同位体ラベル化スフィンゴ脂質の大量調整を試みる。
|
-
[Journal Article] Selective absorption of dietary sphingoid bases from the intestine via efflux by P-glycoprotein in rats.2017
Author(s)
Fujii, A., Manabe, Y., Aida, K., Tsuduki, T., Hirata T., Sugawara, T.
-
Journal Title
Journal of Nutritional Science and Vitaminology
Volume: 63
Pages: 44-50
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
-
-