2017 Fiscal Year Annual Research Report
転写調節因子FOXO1/PGC1αに着目した筋萎縮と運動能力改善の分子機序解明
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16H04926
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
亀井 康富 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (70300829)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 運動 / 筋萎縮 / 生活習慣病 / アミノ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨格筋は、タンパク質・アミノ酸の形でエネルギー貯蔵を行なっており、異化の条件下において分解され、肝臓を含む他臓器において利用される。転写共役因子PGC1αは肝臓において絶食により発現増加して糖新生を促進させることが知られている。本研究では、絶食時に骨格筋においてPGC1αは核内受容体ERRを介してALT(Alanine aminotransferase;アラニンアミノ基転移酵素)の発現を増加させ、アラニン合成を促進させることが示唆された。PGC1αは肝臓だけでなく骨格筋においても飢餓適応に役割を担っているようである。本研究において、飢餓時のグルコース-アラニン回路をPGC1αが調節している可能性をはじめて見出した。 一方、筋萎縮モデルマウス(老齢、ギプス固定、神経切除)の骨格筋の遺伝子発現を網羅的に解析することにより、筋萎縮時に骨格筋においてDNAメチル化酵素であるDnmt3aが発現低下することを見出した。骨格筋特異的Dnmt3a欠損マウス(Dnmt3a KOマウス)を作製したところ、カルディオトキシン投与による筋損傷後の筋再生が低下することが判明した。Dnmt3a KOマウスの筋サテライト細胞ではDnmt3aの欠損により、TGFβファミリーのGDF5(Growth Differentiation Factor 5)遺伝子プロモーターのDNAメチル化が低下・発現増加が観察された。また、Dnmt3a KOの筋サテライト細胞は分化能が低下し、筋再生が抑制することが明らかとなった。これらの結果から、筋萎縮時の筋再生能低下にはDNAメチル化酵素の発現低下によるエピジェネティクス制御が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は「研究の目的」に沿って、順調に進捗している。研究成果を本年度、英文専門誌に発表した(PLoS One. 13(1):e0190904, 2018., FASEB J 32(3):1452-1467, 2018, .Nature Communications 9(1):636, 2018.など)。さらに、国内外の学会や研究会において研究成果を発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、FOXO1とPGC1αのふたつの因子に特に着目して研究を行っている。FOXO1は骨格筋の萎縮を引き起こし、PGC1αの運動時の代謝変化を引き起こすことが明らかとなってきた。筋萎縮は身体活動を低下させQOLが低下する。がんによる筋萎縮(カヘキシー)の防止は寿命を延長させることが報告される。また、加齢による筋萎縮時の肝臓の病変(肝硬変など)は、アンモニア脳症を引き起こすなど、骨格筋量の重要性が知られる。一方、適度な運動は生活習慣病の予防・改善に効果があることが知られる。しかしながら、運動習慣のない人、生活習慣病の合併症などで、運動ができない人なども多く存在する。そのような人に対して、運動効果を引き起こす食品や医薬品(運動模倣薬)は期待が大きい。これらの経路の主要な制御因子としてFOXO1やPGC1αが発見されたことは重要である。FOXO1やPGC1αの活性を改変しうる成分を見出し、検証を行ってゆきたい。
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Research Products
(11 results)