2017 Fiscal Year Annual Research Report
Exosome, マイクロRNAに着目した機能性食品成分の新しい作用機構の解明
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16H04927
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
関 泰一郎 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (20187834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細野 崇 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (80445741)
増澤・尾崎 依 日本大学, 生物資源科学部, 助手 (70614717)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マイクロRNA / 脂肪肝炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国においては、生活習慣病の増加に伴い食品の機能性に関する研究が活発に展開されている。本研究では、メタボリックシンドローム(生活習慣病の基盤病態)と血栓性疾患(終末病態)に焦点を当て、exosome, miRNAに着目した新しい機能性発現メカニズムを解明することを目的とする。これまでに食品の機能性発現にかかわるmiRNAの測定法の確立ならびに機能発現時の挙動について検討を行ってきた。ここでは、コリン欠乏・メチオニン減量高脂肪食を給餌したマウスの非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の発症における脂質代謝関連因子の発現とmiRNAの役割について基礎的な検討を行った。9週齢のC57BL/6Jマウスを1週間予備飼育後、コリン欠乏・メチオニン減量高脂肪食(CDAHFD)を12週まで給餌して飼育した。肝臓中トリグリセリド(TG)、トータルコレステロール量(TC)は経時的に増加し、一方で血漿中TG量、TC量は経時的に減少した。肝臓の組織学的解析の結果、給餌1週目から脂肪滴の蓄積が認められた。8週目から肝臓の線維化が観察され、12週目には顕著な線維形成が確認できた。脂質代謝関連miRNAを定量した結果、miR-27aとmiR-34a発現が経時的に増加した。また、miR-27aの標的遺伝子であり脂質代謝関連遺伝子を制御するsrebp-1発現は減少し、srebp1の下流遺伝子であるScd1発現も減少していた。さらに、miR-34aの標的遺伝子でありACSL1発現が減少していた。しかし、同様にmiR-34aの標的遺伝子であるHNf4αの発現は増加し、その下流遺伝子であるApoBの発現も増加していた。本研究で用いたNASHモデルでは病態の進行に伴い肝臓の脂質酸化関連遺伝子の減少、同時に脂質合成関連遺伝子の増加が明らかとなり、これらの遺伝子発現の変化にmiRNAが関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
miRNA は、exosome と呼称される脂質二重膜のvesicle に包含されて、様々な膜タンパク質や生理活性タンパク質とともに種々の産生細胞から血液中に放出される。本研究では、これらのexosome もしくはmicroparticle(血小板由来のexosome)が食品成分の機能発現の重要なメディエーターであると仮説を立て研究を開始した。抗肥満作用、脂質代謝改善作用、また、抗血栓作用を示す成分を投与したマウスの血清を出発材料として、超遠心分離による最新の方法によりexosome を調製する予定であったが方法の確立が遅れている。今年度は市販のキットなども利用して単離を行い、その機能について培養細胞を用いた評価を追って実施する。一方、今年度計画した血液凝固因子の発現にかかわる実験は、効率よく進めることができ、一定の成果が得られそうであるので、全体的にはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き研究分担者、協力者の大学院生を交えて密に連携をとりながら研究を進める。実験内容を優先順位に基づいて取捨選択し、効率よく研究を進展させるよう注力する。
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Research Products
(26 results)