2016 Fiscal Year Annual Research Report
Role of xylem parenchyma cells in water conduction and defense mechanism of trees
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16H04936
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
黒田 慶子 神戸大学, 農学研究科, 教授 (20353675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 弘明 神戸大学, 農学研究科, 准教授 (50346251)
黒田 克史 国立研究開発法人森林総合研究所, その他部局等, 主任研究員 等 (90399379)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 木部細胞 / 水分通導 / エンボリズム / 通水回復 / 二次代謝 / 柔細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
課題1.水ストレス時の細胞内現象と樹液流回復への関与 1-A. 木部のエンボリズムによる排水および水流回復時の柔細胞の挙動:つる性木本植物の木部は大径の道管が横断面の大部分を占め、長さ数十mの先端まで大量の水を輸送するのに有利である。サルナシの生息分布が水辺に限定されるのは、大径道管の排水(エンボリズム)リスクを低減するためと推測された。フジは公園などの乾燥した場所で生育可能であることから、効率的な通水回復機構を持つと推定した。サルナシには軸方向柔細胞類や周囲仮道管が少ないが、フジには小径道管が多数存在することがわかり、その乾燥耐性に関しては小道管が寄与している可能性がある。 1-B樹木の高所における通導の持続性と柔細胞の役割:針葉樹では、重力による静水圧によって高さとともに梢端部への水分輸送が困難になる。木部柔細胞はエンボリズムが発生した木部において水分通導の回復に関わり、柔細胞数や分布様式は、高さにより変化する可能性がある。高知県の市ノ又において、樹高30m老齢ヒノキ3本から高さ別に5か所の木部組織を採取した。これらの木部切片を観察し、木部柔細胞の垂直的な形態変化を明らかにする予定である。 課題2.木部柔細胞の二次代謝活性変化と通導阻害の関係 2-A. 柔細胞の代謝変化および心材形成(加齢、傷害・感染による):イチジク株枯病菌を接種したイチジク苗の木部においては、付傷後1週間程度以降に、放射柔細胞の内容物に黄色の着色が認められ始め、防御反応による二次代謝の活性化が検出された。軸方向柔細胞については、顕著な変化が認めにくかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度であるため、試験地設定および試料採取、計測技術の改善などにかなりの時間を要した。しかし、次年度の実験試料の準備も含めて実施できたので、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進に問題点はない。昨年まで研究協力者であった東若菜が学術振興会特別研究員PD採用されたので、研究分担者として本研究に参画することになった。当初の計画通りに分担して推進する予定である。
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