2018 Fiscal Year Annual Research Report
林業遺産の保存と持続的な活用による林業教育・地域づくりの可能性
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16H04940
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Research Institution | National Museum of Japanese History |
Principal Investigator |
柴崎 茂光 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (90345190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 泉 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (00271726)
深町 加津枝 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (20353831)
林 雅秀 山形大学, 農学部, 准教授 (30353816)
奥山 洋一郎 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 助教 (30468061)
山田 康弘 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (40264270)
奥 敬一 富山大学, 芸術文化学部, 准教授 (60353629)
八巻 一成 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (80353895)
上野 祥史 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (90332121)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 文化財 / 近代化産業遺産 / 世界遺産 / ジオパーク / 生物圏保存地域 / 日本遺産 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年5月29日に日林協会館で開催された日本森林学会公開シンポジウム「林業遺産への期待と課題」において、コメンテーターとして研究分担者(八巻)、パネルディスカッションのコーディネーターとして研究代表者(柴崎)が登壇し、林業遺産選定が一定段階進んだ後に浮上した選定後の、広報・財政的措置等の問題について議論を行った。林業経済学会2019年春季大会(2019年3月23日、新潟市)では、公開シンポジウム「森林の文化的価値と森林政策の課題」が開催され、研究代表者(柴崎)、研究分担者(奥)、連携研究者(平野)の計3名が口頭発表・論文発表を行い、林業遺産を含む森林が有する文化的価値付けの在り様を発表した。例えば、柴崎は、明治期中期以降における林学における文化的価値の価値付けの在り様を明らかにした。その中で、森林鉄道などの近代林業技術を取り上げ、明治期後期から昭和初期)には、流送よりも優れた運材技術として木材生産という視点から高く評価されたが、トラックによる運材が盛んになる中で価値がないものと見做され、林内に放置・撤去されるようになる。しかし近年の近代化産業遺産ブームの中で、「歴史的価値」としての再認識が行われるようになった。こうした事実から、時間の経過とともに評価される価値が大きく変動することを明らかにした。この他に、奥や柴崎は、将来世代を考慮した多様な価値を残そうとする専門家を中心とする価値判断の必要性も論じた。現地調査に関しては、例えば屋久島では、林業集落跡地における林業遺構に、1930年代前半以前の資料が含まれていることが確認された。この他に、林業遺産に関連する専門書や一般書の発行に向けた準備も進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に引き続いて、研究成果の一部を、公開シンポジウムや学会シンポジウムで発表し、またコメンテーター・コーディネーターとして議論の活発化も図ってきた。以上の事から、一定の成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度を迎える事から、林業遺産の持続的な保全に向けた政策提言を含む、より包括的な視点から、研究会メンバーの情報共有・認識を深める。学会発表だけでなく、学術書や一般書の公表にむけた準備を、メンバー全員に情報共有を進めながら進めていきたい。
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Research Products
(12 results)