2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16H04942
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
谷口 亨 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所林木育種センター, 主任研究員 等 (00360470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
七里 吉彦 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所森林バイオ研究センター, 主任研究員 等 (80461292)
小長谷 賢一 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所森林バイオ研究センター, 主任研究員 等 (30582762)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | スギ / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲノム編集により従来型育種で作製されたスギのエリートツリーに花粉抑制や強度増強形質を付与するための基盤技術構築が本研究の目的である。そこで、広い植物種で成功例が報告されているゲノム編集技術であるCRISPR/Cas9システムのスギへの応用の試みとして、緑色蛍光タンパク質 (GFP) を導入したスギ不定胚形成細胞におけるGFP遺伝子の破壊試験を行った。DNA切断酵素Cas9の発現にはスギで効率的に機能するパセリ由来のPcUbiプロモーターを用いた。ガイドRNAの発現に機能するU6プロモーターについて、スギ由来の11、シロイヌナズナ由来の1、イネ由来の1、計13を用いた。GFP遺伝子の破壊によるGFP蛍光の消光及び塩基配列解析により、標的領域におけるindelが確認され、ゲノム編集に成功したことが確認された。また、スギから単離した11のU6プロモーターにおける、ガイドRNAの転写効率には大きな違いがあり、GFP遺伝子破壊効率は3.3から37.9%と大きく異なった。この試験結果から、スギで効率よく機能するU6プロモーターを選定した。バイオリソース整理のためには、前年度に誘導したスギの優良品種(特定母樹7クローンとエリートツリー1クローン)を交配親とする人工交配(16組合せ)で得られた未成熟種子由来の不定胚形成細胞から不定胚誘導能力の高いと判断した27系統を液体窒素中で超低温保存した。また、今年度も新たに不定胚形成細胞を誘導した。木質形成に関わる遺伝子として、モデル植物で導管形成を負に制御するとされる遺伝子と相同な遺伝子をトウヒから見出そうとしたが、機能が類似すると推定される遺伝子は見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
緑色蛍光タンパク質 (GFP) を導入したスギ不定胚形成細胞におけるGFP遺伝子の破壊試験を行ったところ、緑色蛍光が消失し、スギにおいてゲノム編集が起こっていることを確認できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに緑色蛍光タンパク質遺伝子をターゲットとしたゲノム編集が可能であることが明らかになった。今後は、花粉形成に関係すると予想される遺伝子をターゲットにしたベクターを作成し、ゲノム編集個体の作成を試みる。また、針葉樹の木質形成に関与する遺伝子の解析を引き続き行う。ゲノム編集の材料とする優良なスギのバイオリソースの充実も行う。
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