2016 Fiscal Year Annual Research Report
アクチノリザル共生シグナル物質である環状ジアリールヘプタノイドの生合成と作用機作
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16H04951
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
河合 真吾 静岡大学, 農学部, 教授 (70192549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 夕子 静岡大学, 農学部, 助教 (90638595)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ジアリールヘプタノイド / 生合成遺伝子 / 環化反応 / アクチノリザル共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らはオオバヤシャブシのジアリールヘプタノイド骨格形成に関する縮合酵素が、フラボノイドやスチルベノイドの縮合酵素同様、植物III型ポリケチドに属すると仮定し、次世代シーケンスデータのトランスクリプトーム解析によって候補遺伝子を単離し大腸菌発現を試みている。今年度は、大腸菌発現したPKSIII型の本酵素を用いて、3-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン酸CoAとマロニルCoAを基質として縮合反応を行った。その結果、目的とするジアリールヘプタノイド骨格を有する生成物まで反応が進行せず、反応途中の中間体トリケチドピロン体までしか生合成しないことが明らかとなった。従って、本骨格形成反応は複数の酵素が関与している可能性が強く示唆された。そこで、再度次世代シーケンス解析を試みる目的で、窒素制限あり、なしの、それぞれのオオバヤシャブシ実生およびその根部からmRNAを抽出し、Miseqによって高感度のシーケンス解析を行った(繰越分)。次年度は、このシーケンスデータをもとに縮合遺伝子の単離を試みるとともに、その他の反応を触媒する還元酵素やカップリング酵素遺伝子の探索と発現を試みる予定である。 一方、芳香環同士の分子内環化反応については、有機合成した直鎖型ジアリールヘプタノイドを過酸化水素存在下ペルオキシダーゼによるラジカルカップリングの可能性を試みた。しかしながら、環化生成物は得られず単純なラジカルカップリングでは生成物を与えない可能性が予想された。今後はアルカロイドで提案されているP450型の位置選択的な酸化カップリングの可能性も視野に入れ、候補遺伝子のマイニングを試みる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ジアリールヘプタノイド骨格形成反応の基質の準備や反応条件の検討に手間取った。また、酵素反応が予想通りには進まず、新規次世代シーケンス解析の着手が遅れ、次年度に解析を繰り越す必要があった。直鎖型ジアリールヘプタノイドの合成は順調に進み、ペルオキシダーゼによる反応解析は行うことができた。しかしながら、予想通り、単純なラジカル反応でない可能性が強く示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
次世代シーケンス解析によって、オオバヤシャブシのジアリールヘプタノイド骨格形成に関与する植物Ⅲ型ポリケチドシンターゼ遺伝子を100倍の感度で再度検索する。今後は、前回クローン化した遺伝子以外のジアリールヘプタノイド骨格形成に関与すると考えられる遺伝子を徹底的に探索する。 また、今回のシーケンスデータには、p-ヒドロキシケイ皮酸誘導体の二重結合を還元する酵素遺伝子や、P450型の酸化酵素に該当する酵素遺伝子の断片となりうるデータの存在も確認されたため、これら遺伝子の単離と発現を試みる予定である。
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Research Products
(5 results)