2019 Fiscal Year Annual Research Report
外洋性大型魚類の水温適応を解明する新手法の提案と実践
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16H04973
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
渡辺 佑基 国立極地研究所, 研究教育系, 准教授 (60531043)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 行動生態 / 魚類 / 水温 |
Outline of Annual Research Achievements |
外洋性サメ類の遊泳行動を詳細に計測し、水温や体温との関わりという観点から解析し、複数の論文を発表した。 ホホジロザメは、周囲の水温よりも体温を高く保つ内温性魚類の1種である。このサメの遊泳行動を分析したところ、内温性に起因する大きなエネルギー消費量を少しでも抑えるため、いくつか特徴的な行動を示すことがわかった(Watanabe et al. 2019 J. Exp. Biol.)。まず、平均的な遊泳速度が、最適な移動速度の予測値(一定距離を進むために必要なエネルギー量を最小限に抑える速度)よりも遅かった。ホホジロザメは呼吸のために必要な、最低限の速度で泳ぐことが示唆された。また、潜水の潜行時には、尾びれの動きを止め、負の浮力を利用して前進する「グライディング遊泳」が見られた。このような行動的適応により、ホホジロザメは内温性のメリットとデメリットのバランスをとって生活していることが示された。同じデータセットを捕食行動の観点から分析した結果についても、論文として発表することができた(Watanabe et al. 2019 Mar. Ecol. Prog. Ser.)。 外温性のヨシキリザメについても、遊泳行動、水温、体温のデータを分析し、論文として発表した(Watanabe et al. 2021 Mar. Biol.)。データによると、ヨシキリザメは昼夜を問わず深い潜水を繰り返し、急激な水温変化を経験した。しかし、大きな体に起因する熱の慣性力のため、サメの体温はゆっくりとしか変化しなかった。体温が下がり切る前に潜行をやめて浮上を開始し、また体温が上がり切る前に浮上をやめて潜行を開始していた。このようなやり方で、サメは自らの体温を比較的狭い範囲の中に収めていることがわかった。 この他にも、外洋性サメ類の遊泳行動および水温との関わりについて、複数の論文を発表した。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(24 results)