2016 Fiscal Year Annual Research Report
主要二枚貝の性・性成熟・産卵を制御する脳ホルモンの役割と人工種苗生産への応用
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16H04978
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
尾定 誠 東北大学, 農学研究科, 教授 (30177208)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 二枚貝 / 神経内分泌 / ステロイドホルモン / 生殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.ホタテガイの頭部・足部神経節のpyGnRH発現量は雌雄ともに生殖巣発達初期に高く、その後顕著に減少した。一方、内臓神経節では雌雄ともに性成熟と同調した消長を示し、中枢神経による発現パターンの相違が認められた。 2.トランスクリプトームライブラリーからホタテガイのステロイドホルモン生合成関連酵素候補遺伝子としてcyp17a1, hsd17b8, hsd17b10, hsd17b11, hsd17b14, hsd3b1, hsd3b2, srd5a1, star3 , star9 の10遺伝子を単離できた。生殖周期との関連性を継続解析している。 3.本研究で同定したウバガイ、イガイ、アサリ、マシジミに加え、既知のその他の二枚貝GnRHの推定アミノ酸配列も加えた解析によって、ペプチド領域の高い保存性が認められた。アミノ酸配列の詳細な比較から、アカガイグループ、カキ・ホタテガイグループ、アサリ・ウバガイグループの3つに大別されることがわかった。この分類は分子系統樹解析の結果によっても支持された。 4.性分化後の雌雄判別した成長期のホタテガイの性表現系の観察から、少なくとも正常な環境条件ではホタテガイの性は、マガキのように年によって性転換することなく、性成熟は年を越えて同一の性を維持していることが明らかになった。性の継承性を前提にpyGnRH11aa(C末端Pro-NH2)とpyGnRH12aa(C末端Gly-OH)の徐放投与の性表現型への影響を検討する。 5.トランスクリプトームデータベースからpyGnRH受容体cDNAに加え、ホタテガイAKH受容体cDNAと3種のマガキGnRH受容体cDNA3種の単離に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
pyGnRH遺伝子の中枢神経系における発現動態が神経節によって異なること、これを受容するpyGnRH受容体cDNAを決定できたこと、種々の二枚貝類の推定ペプチド配列が大きく3大別されることが明らかになり、ステロイドホルモン生合成関連酵素候補10遺伝子など想定以上に単離同定が進展した。特に、トランスクリプトームデータベースからpyGnRH受容体に加え、ホタテガイAKH受容体、さらに、3種のマガキGnRH受容体を単離できたことは、受容機構の解明とリガンドとしてのGnRHペプチドの設計に大きく貢献する。
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Strategy for Future Research Activity |
ステロイドホルモン生合成関連酵素候補遺伝子発現量の生殖周期との関係および生殖巣組織培養によるpyGnRHのこれら遺伝子発現への影響を検討し、ステロイド生合成の制御機構を明らかにする。また、性分化している未分化期の生殖巣への2種類のpyGnRH投与による性表現型への影響を検討し、雌雄への性転換の可能性を検証する。HEK細胞にpyGnRH受容体遺伝子を導入し、GnRHペプチド群に対する応答の評価系の確立を行い、受容体の特性とユニバーサルなGnRHペプチド配列の設計に資する。ホタテガイOMAF全翻訳領域の蛋白質発現系への導入による組み換えタンパクの獲得と抗体作成、抗体による産卵制御に関わる細胞の特定を図る。
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Research Products
(9 results)