2017 Fiscal Year Annual Research Report
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16H04979
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大久保 範聡 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (10370131)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 水産学 / 生理学 / 脳・神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの研究によって、メダカ(Oryzias latipes)の脳内で性的二型を示す細胞集団が複数同定され、さらに、それぞれの細胞集団で、性ホルモン(エストロゲンやアンドロゲン)の作用によって性特異的、あるいは性依存的に発現している複数の遺伝子が同定された。 本年度はまず、性的二型を示す細胞集団の一つに焦点を当て、そこでエストロゲンの作用によってメス特異的に発現し、かつ、水産上重要な形質の雌雄差に関わると推察される五つの遺伝子について解析を進めた。それらの遺伝子のノックアウトメダカ系統の作出と、効率的なジェノタイピング法の確立を完了させ、機能解析(ノックアウト系統の表現型解析)のための準備を進めた。 また、性的二型を示す別の細胞集団に着目した研究も進めた。そこでアンドロゲンの作用によってオス特異的に発現する遺伝子のノックアウトメダカ系統を作出し、その表現型を解析したところ、その遺伝子は攻撃行動のモチベーションを促進していることが明らかとなった。そして、その遺伝子が攻撃行動を制御する際の作用機序の一端を明らかにした。 さらに、別の性的二型を示す細胞集団に着目した研究も進めた。これまでの研究によって、その細胞集団では、イソトシンという神経ペプチドの一種の発現がオスだけでアンドロゲンによって促進されることが明らかとなっていた。本年度はその知見を発展させ、そうしてオスだけで産生されたイソトシンは下垂体を介して末梢に運ばれること、また、アンドロゲンは、キスペプチンという別の神経ペプチドを介して、イソトシンの発現を促進している可能性が高いことを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定よりも進んでいる研究項目と遅れている研究項目があるが、総合的にみると、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね順調に進展していると考えられるので、このまま本研究課題を推進していく。
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Research Products
(7 results)