2017 Fiscal Year Annual Research Report
場のマネジメント理論を援用したワークショップの最適設計 に関する研究開発
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16H04995
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
星野 敏 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (60192738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鬼塚 健一郎 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (90559957)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ワークショップ / 場の理論 / 感性分析 / ファシリテーター / 農村景観 / 3Dモデル / 生体情報モニタ- |
Outline of Annual Research Achievements |
第1に,大学生を対象にして,ファシリテーションの方法を変えて(介入型,非介入型)ワークショップを実施し,その間の完成データを収集すると共に,事後的なアンケート調査によってワークショップのパフォーマンスを評価した。この実験は,「感性分析・表情分析機能を実装したワークショップ動態解析システム」のトレーニングデータを収集するために実施した。 第2に,ファシリテーションの熟練者に対して,学生を参加者に見立てた模擬的ワークショップを依頼し,そのプロセスの音声・画像データを計測した。その後,ビデオを再生しながらワークショップの場面を振り返り,ファシリテーション行為の理由を世詰めしてもらった。このような実験を3名の熟練者に対して実施した。この実験は,ファシリテーションのノウハウの抽出およびワークショップの場面展開のパターン把握のために実施した。 第3に,対象となる農業集落において,ドローンからの撮影写真を用いて,対象区域の農村景観を任意の角度から表示する3Dモデルを構築した。これは,ワークショップへの投入情報としての利用を前提とするものである。この研究成果は,ワークショップでの情報提供がどのようにメンバーの感性やワークショップの帰結に作用するかという課題の前段階の研究として位置づけている。 第4に,現在のシステムは研究室内で使用する場合大きな支障ないが,大学外に持ち出す際にはそれなりに大変である。また,ビデオカメラやマイクなどがワークショップの酒者にとってはやや気になる存在となる。このため,より自然な形でワークショップ・プロセスの計測ができないかを考えて,腕時計型の生体情報モニターの利用可能性について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
第1に,ワークショップ実験によるデータの取得はある程度,進んでいるが,「感性分析・表情分析機能を実装したワークショップ動態解析システム」で得られた各種データの解析手法の検証が遅れていること。 第2に,村づくりワークショップを前提に規定要因を抽出すると,要因が極めて多岐にわたっており,操作する要因以外の要因を同一に揃えることがかなり大変であること。 以上により,作業自体は進めているものの,最終的な成果のアウトプットになかなか結びついていないと自己診断している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度が最終年度であるため,これまでの遅れを挽回し,成果のアウトプットがスムーズにできるように,以下の対応策を実施する。 第1に,懸案である「感性分析・表情分析機能を実装したワークショップ動態解析システム」の完成に向けて努力を傾注する。 第2に,村づくりワークショップの建て付けをそのまま社会実験で再現すると,上述のように規定要因が多くなりすぎる。このため,操作する要因以外の条件(規定要因)を一定にコントロールすることが難しい。そこで,村づくりワークショップのフル・セッティングではなく,ファシリテーション,ディスカッション等,複数のパートに切り分け,それぞれを別々の実験計画として組み直す。具体的には,ファシリテーションの部分では,ワークショップのフレームを村づくりから仮想的なものに変更し,それ以外の要因が同一条件となる環境のもとで,実験を実施する。また,ディスカッションの部分では,ワークショップではなくてディベートとして環境を設定して,ファシリテーションの要素を排除する。 第3に,研究マネジメント面では,本年度,研究の主力の一人として参加してくれていた研究室内の研究員が就職により他大学に異動した。研究体制を補強するため,ワークショップに詳しいメンバーを新たに外部から調達し,5月から参加してもらうことになった。
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