2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of the comprehensive diagnosis system for irrigation tanks using cognitive architecture
Project/Area Number |
16H04997
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
小林 範之 愛媛大学, 農学研究科, 教授 (00314972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉 智揮 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (40574372)
木全 卓 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (60254439)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 農業水利施設 / ストックマネジメント / ため池 |
Outline of Annual Research Achievements |
ため池の漏水は,ミズ道が存在するものや遮水性が減少し堤体全体からの浸透量が増加する場合がある.また,堤体からだけでなく,地山や基礎からの場合もある.したがって,診断方法はあっても,その手法が適用できるかどうか,どこを診断すればよいのか,といった問題が常に存在する.また,診断方法を決め実施したとしても,漏水領域が明確にならないことも多い.さらに,様々な原因が絡み合って発生した症状であったり,原因が特定できない場合もあり,単一の診断手法では解明できず,複数の診断方法を組合せる必要がある場合もある. 本研究では,漏水ため池の事例を収集し,「この症状のときは,この部分を診断し,その際にはこの診断手法を用いる」といった指針を作成する.また,診断方法の組合せ,診断結果の解析,複数の診断結果の総合評価方法の提案を行う.さらに,上記内容を一人の総合診療医が担うことをイメージし,認知アキテクチャを利用したため池の総合診療システムを開発する.研究は,「漏水ため池のカルテの作成とジオデータベース化」,「漏水調査マニュアルの作成」,「診断方法の文献調査と現地調査の実施」,「SOM による診断結果の最適組合せの評価」,「認知アキテクチャを利用したため池の総合診療システムの開発」の5つのステップで進められるが,本年度はステップ1,2,3,5を実施した. ●平成28年6月23日に決壊した愛媛県西予市内のため池の調査を実施し,決壊前のため池の状況,降雨と貯水位の関係を明らかにするとともに,ため池の決壊メカニズムおよび復旧方法,維持管理・緊急時の対応方法について検討した. ●愛媛県伊予市内のため池で,比抵抗電気探査,高精度表面波探査を実施し,ニューラルネットワークを援用してため池堤体および周辺地盤の土質区分の推定を試みた.また,常時微動計測データより,位相速度の推定を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
決壊したため池の貴重な調査結果を入手し,決壊メカニズムを明らかにすることができた.また,復旧方法を含めた検討も行い,漏水ため池カルテの一つとすることができた. さらに,愛媛県の漏水ため池で,比抵抗電気探査,高精度表面波探査,常時微動計測を複数回行い,ため池堤体および周辺地盤の土質区分を推定するシステムを試作することができた.これらの研究成果は第25回日本雨水資源化システム学会大会および平成29年度農業農村工学会中国四国大会講演会に投稿する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
本課題では,研究は,「漏水ため池のカルテの作成とジオデータベース化」,「漏水調査マニュアルの作成」,「診断方法の文献調査と現地調査の実施」,「SOM による診断結果の最適組合せの評価」,「認知アキテクチャを利用したため池の総合診療システムの開発」の5つのステップで進められるが,平成29年度は,平成28年度に引き続きステップ1, 3, 5を実施する.各ステップの実施内容は以下の通りである. ステップ1 漏水ため池のカルテの作成とジオデータベース化:漏水による改修が終了したため池の調査および改修報告書を収集し,カルテを作成する.さらに,そのカルテをデータベース化する. ステップ3 診断方法の文献調査と現地調査の実施:各手法のメリット・デメリット,分かること・分からないことを明確化する.また,診断方法の中からnon-destructive な方法を選択し,漏水ため池で複数の診断手法を実施する. ステップ5 認知アキテクチャを利用したため池の総合診療システムの開発:ディープラーニングを適用した認知アキテクチャを用い,一つの総合診療システムを開発する.
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Research Products
(5 results)