2016 Fiscal Year Annual Research Report
青果物の輸出促進に資する高電圧・プラズマ利用高度品質保持技術の確立
Project/Area Number |
16H05005
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
内野 敏剛 九州大学, 農学研究院, 教授 (70134393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 浩一 岩手大学, 理工学部, 教授 (00216615)
田中 史彦 九州大学, 農学研究院, 准教授 (30284912)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 農業工学 / 農林水産物 / プラズマ / 高電圧 / 青果物輸出 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.リアクタの設計・製作と基礎性能試験:コロナ放電式とDBD(誘電体バリア放電)式リアクタを作製し、マルチチャンネル分光器を用いて発光スペクトルを測定した。酸素21%、窒素79%の混合ガス中では315、336、356nm付近にピークが見られ、315nmのピークは酸素あるいは窒素由来のものと考えられる。
2.プラズマによる空中浮遊菌の殺菌:コロナ放電式リアクタを殺菌槽(内径66mm、長さ400mm)に入れて密閉し、上記のガスを4L/minで15min送気した。ガスボンベと殺菌槽間に乾燥した20mgのアオカビ病原菌(Penicillium italicum)を入れた三角フラスコを置き、スターラで撹拌してカビ胞子を気中に送り空中浮遊菌とし、殺菌後インピンジャで捕集した。印加電圧は波形を三角波、矩形波、正弦波とし、印加電圧を5、6、7、8kV、周波数を50、100、500、1000Hzと変化させて実験を行った。正弦波で電圧を変化させた結果、7kVのとき、生残菌数が最も少なく、これ以降は7kV^で試験した。電圧の波形による生残菌数の違いはほとんどなく、正弦波、三角波で500Hz時に生菌数は最低となった。
3.プラズマによるエチレンの分解:通気式装置によりエチレン分解試験を行った。分解槽は146×496×73mmの容器内にコロナ放電式リアクタを2本設置し、槽内にエチレン100ppm、酸素21%、窒素79%の混合ガスを1L/minで流し、リアクタに6.2、6.5、6.7、7.0kVの正弦波を印加した。また、プラズマ発生時の副産物であるオゾンを分解して原子状酸素に戻しエチレン分解に再度用いるため、UVランプを2~6本補助的に用いた。エチレン分解効率は6.2kVの時が最も高く、また、UV照射時は効率が2~3割向上した。また、UVランプの位置はリアクタの近辺が最も効果的であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画では1.リアクタの設計・製作と基礎性能試験、2.プラズマによる空中浮遊菌の殺菌、3.プラズマによるエチレンの分解をそれぞれ、1.コロナ放電式、DBD式のリアクタを作製し、発光によるプラズマの気相診断等の基礎試験を行う、2.粉末状の芽胞含有物を菌槽中に入れインピンジャに捕捉して菌数を測定し、V-Qリサージュから効率を求める、3.エチレンの分解試験を行い、エチレン濃度を測定し、分解効率を求めるとしている。 上記の研究実績の概要に記している通り、1、2、3の研究実施計画はほぼ達成されており(字数の関係から研究実績にはV-Qリサージュを用いた殺菌の効率について記していないが、実際には行っている)、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
ここまでは上記の「現在までの進捗状況」に示すように、研究計画に従い概ね順調に進展しているので、今後も同様に研究計画に従い、粛々と研究を遂行していく。 1.プラズマによる空中浮遊菌の殺菌では、コロナ放電に加え、新たにDVD方式のリアクタによる殺菌効果試験を行い、活性酸素とオゾンによる殺菌の寄与率を明らかにする。2.プラズマによるエチレン分解では放電エネルギを詳細に検討するとともに、小型装置での結果から大型のコンテナ内のエチレン濃度の予測やCFDによるエチレンの庫内拡散予測等を行っていく。 また、研究分担者との連携を昨年以上に密に取りながら研究を推進していく。
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