2016 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光指紋イメージングによる米ゲル含有パン生地の物性と膨化機構の解明
Project/Area Number |
16H05012
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
杉山 純一 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門 食品加工流通研究領域, 主席研究員 (20353972)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蔦 瑞樹 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門 食品分析研究領域, 上級研究員 (80425553)
粉川 美踏 筑波大学, 生命環境系, 助教 (10732539)
北村 豊 筑波大学, 生命環境系, 教授 (20246672)
柴田 真理朗 東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (40590360)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 比容積 / 膨化特性 / 乳化米ゲル / 比容積 / 水分 |
Outline of Annual Research Achievements |
米の品種の違いによるパンの膨化特性を確認した。品種の違いによる比容積への影響は大きく、米ゲル物性が膨化特性に大きく影響していることは明らかであった。具体的には、北瑞穂は、特に弾性の高い米ゲルが得られ、パンや麺に向いている物性が確認できた。ゆきひかりは、従来のモミロマンと似たような物性で、パン、洋菓子のいずれも製造可能なことを確認した。 一方で、水分も大きく影響することが確認され、特に米ゲル自体の水分量、製パン時に加水する水分量のいずれもが、影響することが明らかになった。すなわち、米ゲル中の水分が少なく、かつ加水量が多い生地は、焼成すると生地は軟らかく、比容積が大きい傾向がみられた。 さらに、米ゲルの乳化特性と物性に関して、詳細な検討を行った。米ゲル、乳化米ゲルの食品素材としての保存性をそれぞれの物性の経時変化から検討した。 米ゲル、乳化米ゲルを冷蔵(4℃)、冷凍(-20℃)条件下で保管し、ゲル作成後1日目、7日目、14日目での物性の経時的な変化を、動的粘弾性測定裝置により測定し、比較・検討した。 その結果、低加水条件(1.5倍加水または1.5倍(油+水)配合)での冷蔵および冷凍区分、高加水条件(4倍加水配合または4倍(油+水)配合)の冷蔵区分でE*、tanδともに乳化米ゲルの方が米ゲルと比較して経時的な変化の割合が小さくなった。この結果から米ゲルを乳化させることによって経時的な物性変化を抑制する効果が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、膨化特性に関する様々な要因に関して、全体的な傾向を掴むことを念頭に実験を行った。まず、水分がひとつのキーポイントになるが、その場合、米ゲル中に含まれる水分と、後から加水する水分は、若干、作用が異なることが示された。 一方で、原材料の米自体の特性も、大きくパンへの膨化特性に寄与しており、基本的に、品種そのものの特性に依存することが明らかとなった。 また、それ以外にも、米ゲルに油を添加することで、乳化米ゲルが生成され、非常に親油性が高い素材であることが示され、このことは、経時変化を抑えたり、物性への影響を緩和させたりする作用が示され、製パン性にも大きく寄与することが示唆された。 以上より、本年度は、米ゲル添加によるパンの膨化特性に関して、キーファクターを掴むことができ、さらにその変化の傾向も明らかにできたため、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、定性的な傾向把握がメインであったが、今後は、物性をきちんと測定できるような環境を整え、定量的な評価ができるような方向に進める予定である。そのためには、物性を、多面的に捉える必要があり、特に、弾性と粘性という2つの側面から追及していこうと考えている。しかしながら、パン生地のようなゾル状の物性把握ができる装置は、現在、持ち合わせておらず、機器選定も含めて、検討を行っていきたい。
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Research Products
(5 results)