2016 Fiscal Year Annual Research Report
乳牛の乾乳期栄養管理によるエピジェネティクス調節を介した代謝ホルモンの作用制御
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16H05021
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
杉野 利久 広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (90363035)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 乳牛 / 脂質代謝 / 肝臓 / メチル化 / 脱メチル化 / 候補遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
最近,乳牛の周産期(分娩前後)では,乾乳期(分娩前)の栄養状態が一因とみられる代謝障害が多発している。研究代表者は,乾乳期の栄養状態が分娩後の栄養代謝と乳生産に影響することを明らかにしており,その機序として成長ホルモン(GH)とインスリンの肝臓脂質代謝に対する作用変化が一因であることを見いだしている。これらホルモンの作用変化には,医学領域や応募者の先行研究から,栄養要因による肝臓脂質代謝関連遺伝子のメチル化/脱メチル化を介したエピジェネティクス調節機構が関与していると考えられる。本研究は,乾乳期の栄養状態による分娩後のGHおよびインスリンの肝臓脂質代謝に対する応答の変化機序をエピジェネティクス調節機構から明らかにすることを目的とし,平成28年度は以下の成果を得た。 平成28年度において,動物種間比較(マルチプルアライメント)によるウシ脂質代謝関連遺伝子プロモーター領域CpGアイランドのin silico解析を実施した。 まず,ウシ肝臓における脂質代謝関連遺伝子を候補化するため,ウシ肝臓のマイクロアレイ解析データ(24,016遺伝子,Li et al., 2008)から遺伝子データベースDAVIDを用いて脂質代謝に関連するものを281遺伝子に絞った。 次に,この281遺伝子と既にデータを所有しているマウス卵巣(万能系)のメチル化/脱メチル化データと比較し,卵巣でメチル化/脱メチル化している遺伝子を151遺伝子まで候補化した。この151遺伝子からCpGアイランドを含む遺伝子を選択し51遺伝子を候補化した。 さらに,マウス肝臓を用いてリアルタイムPCRにより51遺伝子の肝臓における発現有無を検討し,38遺伝子を肝臓でメチル化/脱メチル化しうる脂質代謝関連遺伝子として最終的に候補化した。現在,これら遺伝子群のマウスの妊娠・出産による肝臓での発現変化を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに順調に進展しており,また乳牛の乾乳期および産褥期の肝臓組織片採取も予定通り進行している。また,当初予定にはしていなかったが,候補化遺伝子をさらに明確にするために,マウスを用いたモデル実験を実施を追加して精度を高めている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画通り,乳牛における採材を進め,マウスを用いたモデル実験を追加することで,遺伝子の候補化の精度を高め,一層推進を図る。
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