2018 Fiscal Year Annual Research Report
乳牛の乾乳期栄養管理によるエピジェネティクス調節を介した代謝ホルモンの作用制御
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16H05021
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
杉野 利久 広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (90363035)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 乳牛 / 乾乳期 / 栄養水準 / 肝臓脂質代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度に実施した動物種間比較によるウシ脂質代謝関連遺伝子プロモーター領域CpGアイランドのin silico解析により,ウシ肝臓遺伝子データからメチレーションしうる遺伝子を51遺伝子,候補化した。これら遺伝子をマウス肝臓にて発現解析し,38遺伝子が肝臓で発現していることを確認した。29年度は,妊娠前後のマウス肝臓を採材し,38遺伝子のマウス周産期における発現変化を検討した。その結果,12遺伝子が分娩後に発現が低下すること,26遺伝子が変化しないことを明らかにした。 平成30年度は,乳牛の乾乳期栄養水準により,代謝エネルギー要求率90%および110%の2群を設け,各群10頭から周産期における肝臓組織片の採取,採血,乳生産成績などのデータおよび採材を行った。 結果,分娩前の乾物摂取量は,90%群で低値を示した一方で,分娩後3週間の乾物摂取量は22kg/日と110%群と比較し4kg程度高値を示した(P=0.002)。ボディーコンディションスコアは両群とも分娩後低下したが差は認められなかった。乳量は両群で差は認められなかったが,乳タンパクは高値を,乳脂率は低値を90%群で示した。飼料効率は乾物摂取量と乳量の結果を受けて,90%群で高値を示し,このことから乾乳期の低栄養水準は分娩後の負のエネルギーバランスを改善する可能性が示された。血液性状に関して,血漿ホルモン濃度および生化学成分値には両群で差はほとんど認められなかったが,血漿アルブミン濃度が90%群で高値をしめした。肝臓組織片を用いたマイクロアレイ解析の結果,in silico解析で選抜した51遺伝子の内,31遺伝子が発現していた。現在,栄養水準による発現変化の差異に関して解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り順調に進展している。また,予定例数を上回る採材を終了しており,表現型データの解析はすでに終了している。昨年度末には肝臓組織片のマイクロアレイ解析の解析も予定通り終了している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,得られたマイクロアレイデータの統計解析,表現型との関連性およびメタボローム解析を実施し,乾乳期の栄養水準によるエピジェネティクス調節機構を明らかにする。
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