2016 Fiscal Year Annual Research Report
イヌ・リーシュマニア症におけるエキソソームRNAの解析と早期診断法の開発
Project/Area Number |
16H05023
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
片倉 賢 北海道大学, 獣医学研究科, 教授 (10130155)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 人獣共通感染症 / 犬リーシュマニア症 / エキソソームRNA / 早期血清診断法 / 次世代診断法 |
Outline of Annual Research Achievements |
内臓型リーシュマニア症ではヒトもイヌも不顕性感染が多い。早期診断が臨床的にも疫学的にも重要であるが、既存の診断ツールの感度は不十分である。申請者はリーシュマニア原虫を実験接種したビーグル犬において、分子量約88 kDaの抗原(抗原Xと称す)に対する抗体が接種後1ヶ月から産生されることを明らかにした。そこで本研究では、抗原Xを同定し、そのリコンビナント蛋白質を抗原とする免疫血清診断法を確立し、早期診断の有用性を検証する。また、次世代診断法として、血中に安定に存在するエキソソームRNAに注目し、血中のsmall non-coding RNA分子をバイオマーカーとするより感度と特異性の高いリーシュマニア症診断法開発への道筋をつけることを目的とする。 平成28年度は、SDS-PAGEから該当する抗原分子を切り出して、質量分析(LC-MS/MS)を行い、得られたデータをMASCOTプログラムで解析した。その結果、ペプチド情報から蛋白質Xの候補として数種類の遺伝子の検出に成功した。 一方、バングラデシュにおけるヒトのリーシュマニア症の流行地で捕獲した野犬から血漿中のセルフリーDNAを回収して次世代シーケンサーで解析した。その結果、リーシュマニア原虫のエキソソーム由来と考えられる複数の遺伝子断片が検出された。このことは、リーシュマニア感染犬の末梢血にリーシュマニアのエキソソームが存在する可能性を強く示唆しており、今後さらに解析を進めていく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抗原Xについて質量分析を行った結果、ペプチド情報から蛋白質Xの候補として数種類の遺伝子の検出に成功した。一方、バングラデシュのヒトのリーシュマニア症の流行地で捕獲した野犬の血漿中にリーシュマニア原虫のエキソソーム由来と考えられる遺伝子断片を検出した。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)抗原X候補遺伝子として、まず5つの遺伝子について、ゲノム情報をもとに遺伝子のPCR増幅とクローニングを行い、組換え蛋白質Xを作製する。 (2)次世代シーケンサーで検出したセルフリーDNAの詳細な解析を実施する。 (3)リーシュマニア症の流行地で捕獲した野犬の血漿からエキソソームを回収し、次世代シーケンサーで解読して、詳細な解析を行う。 複数の検査・解析方法を比較・検討することで、犬リーシュマニア症に対する診断の精度を高めるとともに、その病態の理解を深める。
|
Research Products
(4 results)