2017 Fiscal Year Annual Research Report
ベクター媒介性病原体における宿主トランジション応答機構
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16H05026
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
福本 晋也 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 准教授 (50376422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅沼 啓輔 帯広畜産大学, 畜産学部, 特任助教 (60772184)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マラリア |
Outline of Annual Research Achievements |
ベクター媒介性病原体において、哺乳動物・節足動物宿主間のトランジションは決死のイベントであり、それに伴う障害への応答が病原体伝播において重要な役割を担っていることが推測された。また、双方向の宿主トランジションにおける原虫応答が同一の機構により担われており、これが欠損することでマラリア原虫は宿主間の伝播能を失うことが明らかとなった。以上から、原虫の伝播成立には、同一宿主内における分化・増殖とは独立 した、宿主トランジション特異的な分化・増殖シグナルが重要な働きを担っていることが推測された。以上の仮説の検証を中心として、各種ベクター媒介性感染症における、宿主トランジション応答機構の意義を明らかにするため、研究を実施した。 トランスポゾンを用いたプロモータトラップ遺伝子機能増強型変異体原虫ライブラリーのスクリーニングにより宿主トランジション能力の高い原虫群について、責任遺伝子の同定を行った。同定された遺伝子について遺伝子KOのためのターゲティングベクターとKO原虫の作製を順次実施した。17遺伝子についてKOを試みたところ、8遺伝子がKO不可能であり原虫の増殖に必須の遺伝子であることが示唆された。KO可能であった9遺伝子について機能の検索と表現型の解析を行った。生殖母体関連遺伝子が含まれ、また、オス生殖母体の低活性化を示す遺伝子が同定された。 また、pacマーカー、bsdマーカーを用いた三重変異体作成技術の開発に成功し、上記で同定された遺伝子ファミリーに対する組換え体を作製した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に基づき概ね順調に進展していると考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに作製された遺伝子組換えマラリア原虫の表現型を分子レベルで詳細に解析することによって、マラリア原虫の宿主間トランジションメカニズムの解明に努める。
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