2018 Fiscal Year Annual Research Report
血清アミロイドA3が関与する新たな粘膜免疫機構と腸管での感染防御機能の解明
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16H05027
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
猪島 康雄 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (20355184)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 智亮 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (10728447)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アミロイド / SAA / SAA3 / 上皮 / mRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度までに得られた研究成果である、「血清アミロイドA3(SAA3)は腸管上皮細胞においてアミロイド形成とは異なり、細菌感染に対する生体防御に関与する」という生物活性が、腸管上皮以外の上皮細胞でも同様な生物活性を有している可能性について解析した。腸管上皮以外として、外界に暴露される肺胞上皮細胞を用いた。マウスII型肺胞上皮由来MLE-15細胞、およびT7細胞、さらにマウス肺胞クララ細胞由来C22細胞に、グラム陰性菌の菌体膜抗原であるLPS、グラム陽性菌の菌体膜抗原であるLTAの濃度を変えてそれぞれ添加し、SAA3およびSAA1 mRNAの発現をリアルタイムPCRで相対定量し、以下の結果を得た。 ・II型肺胞上皮由来MLE-15、およびT7細胞において、LTAよりもLPSにより鋭敏に反応し、SAA3 mRNAの発現が上昇した。 ・このときSAA1 mRNAの有意な上昇は見られなかった。 ・クララ細胞由来C22細胞においても同様に、LTAよりもLPSにより鋭敏に反応し、SAA3 mRNAの発現が上昇した。 ・MLE-15、T7細胞と同様に、SAA1 mRNAの有意な上昇は見られなかった。 これらの結果から、腸管上皮と同様にSAA3は肺胞上皮においても細菌感染に対する生体防御機能を有することが示唆された。また、肺においては体表の常在菌であるブドウ球菌などのグラム陽性菌よりも、大腸菌のようなグラム陰性菌に暴露される機会は少なく、その感染は肺にとって異常事態であり、より鋭敏に反応する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
腸管上皮以外の上皮細胞でもSAA3は細菌感染に対する生体防御の機能を有する、という仮説を肺上皮細胞を用いたインビトロの解析で証明することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
摘出した肺にLPS、LTAを添加するエックスビボの解析をする。ウシの各種上皮におけるSAA3のmRNAおよびタンパクの発現についても解析する。
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