2017 Fiscal Year Annual Research Report
自然発症心室性不整脈突然死モデルマウスの分子生理学的機序の解明とその臨床応用
Project/Area Number |
16H05045
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
青沼 和隆 筑波大学, 医学医療系, 教授 (10375488)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳沢 正史 筑波大学, 学内共同利用施設等, 教授 (20202369) [Withdrawn]
村越 伸行 筑波大学, 医学医療系, 講師 (80447218)
入鹿山 容子 筑波大学, 人間総合科学研究科, 講師 (90312834)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 不整脈 / 突然死 / 遺伝性 / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
明らかな器質的心疾患のない遺伝性不整脈疾患はプライマリー不整脈疾患(チャネル病)と呼ばれ、心臓突然死の約10~15%(日本で年間約7000例)を占め、特に若年者の心臓突然死の原因として非常に重要である。本研究は、ランダムに点突然変異を入れたマウス数千匹のスクリーニングの中から見出した遺伝性を有する自然発症性心室性不整脈による心臓突然死モデルマウスを用いて心臓突然死の分子学的機序を明らかにし、臨床的な治療法や予防法の開発に繋げることが目的である。化学変異原であるエチルニトロソウレア(ENU)を投与して生殖細胞にランダムに変異を起こした雄(G0)を、正常野生型雌と交配して得られる第一世代(G1)約7000匹に対する生理学的スクリーニングを行い、自然発症の心室性不整脈を呈し、生後1年以内に突然死するマウスを認めた。G1マウスの仔(G2)でも同じ表現型を認め、遺伝性心室性不整脈による突然死マウスモデルとして受精胚を採取・保管した。同マウス系統に対しQTLマッピング解析を行い、確定的な責任遺伝子座を同定した。さらに、表現型陽性個体および陰性個体のエクソーム次世代シークエンシングを施行し、特定された責任遺伝子座において遺伝性不整脈マウスの原因遺伝子変異を同定した。テレメトリー心電図では心室性期外収縮二段脈や二方向性心室頻拍を認め、生後約6~9か月で自然誘発性の突然死を認め、カテコラミン誘発性多形性心室頻拍に類似したモデルであった。変異型および野生型cDNAをHEK293細胞に導入し、現在、カルシウム動態を解析するなど、分子学的・電気生理学的解析を行っている。今後、変異遺伝子の機能解析を進め、病態に有効な化合物の同定を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
対象とするマウスが突然死を起こし、繁殖維持が困難であったこと、また細胞電気生理学的解析に時間がかかったことから、予定より進行がやや遅れている。対象マウスは胚移植を行い、現在順調に生育しており、解析も徐々に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、(1) パッチクランプ法にて野生型および変異型におけるチャネル機能を解析する、(2)膜電位感受性蛍光色素あるいはカルシウム感受性蛍光色素を用いて野生型・変異型から採取した細胞あるいはマウス心臓のイメージングを行う、(3) 細胞・組織は多電極アレイシステムによる伝導速度や活動電位の評価を行い、生体レベルでは電極カテーテルによる電気生理検査やテレメトリー心電図を用いた電気生理学的解析を行う。以上により病態の解明を進めるとともに、表現型である心室性不整脈や突然死に対して有効な化合物・分子の探索を行う。効率的に研究を進めるため、新たに研究分担者を加え、主に研究代表者が電気生理学的解析、イメージングを、研究分担者が細胞電気生理学的解析、分子学的スクリーニングを進める予定である。
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