2016 Fiscal Year Annual Research Report
Functional role and molecular mechanisms of adhesion signal in survival and self-renewal of spermatogonial stem cells
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16H05046
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
高島 誠司 信州大学, 学術研究院繊維学系, 助教 (40396891)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 精子幹細胞 / 自己複製 / 接着 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:精子幹細胞の生存と自己複製を担保する接着様式の解明 ①接着におけるインテグリン依存性の検証:培養精子幹細胞(Germline Stem cell, GS細胞)は基底膜成分であるラミニンに対し、インテグリンα6β1を介し接着することで、生存と増殖が可能となる。しかし、インテグリン非依存性に細胞接着を引き起こすポリ-L-リジンをコートしたディッシュ上に接着させた場合、GS細胞は増殖することができず、アポトーシスに陥った。この際、自己複製因子GDNFはこのアポトーシスをある程度抑制したが、FGF2は全く抑制しなかった。この現象は、接着により生じるシグナルがインテグリンを介しており、これがGDNFにより入力される生存・増殖シグナルをコントロールしていることを示していた。 ②接着におけるインテグリンα鎖-細胞外マトリクスの選択性の検証:インテグリンα鎖は接着するマトリクスの種類を規定する。GS細胞はインテグリンα6β1を介し基底膜成分であるラミニンと接着するが、ゼラチンやフィブロネクチンとは接着することができない。これは、必要なα鎖が発現していないことによる。GS細胞の生存と増殖には細胞外マトリクスへの接着が必要であるが、これが、インテグリンα6β1-ラミニン相互作用に特異的なものかを検証した。GS細胞にインテグリンα5を強制発現させたところ、フィブロネクチンへの接着が可能となり、生存と増殖も示した。接着によるGS細胞の生存・自己複製の担保は、インテグリンα6β1-ラミニン相互作用に特異的なものではなく、他のα鎖-細胞外マトリクスの組み合わせでも代償可能であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定された実験を遂行し、以下の二点を明らかにできたため ①接着におけるインテグリン依存性を証明し、その依存性はGDNFシグナルで部分的に代償できるが十分でないことを明らかにしたため。 ②インテグリンシグナルのα鎖と細胞外マトリクスの組み合わせは、必ずしもインテグリンα6β1-ラミニン相互作用の組み合わせに限定されないことを見出したため。
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度は、H28年度に得られた結果をさらに掘り下げることを目的に以下の研究を進める ①非生理的接着条件で生存したGS細胞の性状と機能の解析 フィブロネクチン上で培養可能になったインテグリンα5強制発現GS細胞の性状と機能を明らかにする。増殖速度を野生型GS細胞と比較するとともに、遺伝子発現及び幹細胞活性、精子形成能力を検証する。 ②接着における細胞外マトリクスの物理的条件の検証 細胞外マトリクスの種類については様々な細胞でその意義が検証されているが、物理的条件についてはほとんど記載されていない。硬さを自在に変えられる人工細胞外マトリクスを作製し、硬さを操作することでGS細胞にどのような影響が及ぼされるかを検証する。
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