2016 Fiscal Year Annual Research Report
髄外造血ニッチとしての脾臓微小環境構成要素の解明と造血幹細胞増殖法への応用
Project/Area Number |
16H05047
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
後飯塚 僚 東京理科大学, 研究推進機構生命医科学研究所, 教授 (50301552)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 幹細胞 / 微小環境 / 脾臓 / 間葉系細胞 / 免疫学 / 発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
脾臓に選択的に存在するTlx1発現細胞はplatelet-derived growth factor receptor-alpha(PDGFRa)を発現し、様々な成熟脾臓ストローマ細胞への分化能力を有する間葉系幹細胞様の細胞である。そのTlx1発現細胞にTlx1を過剰発現することによって起こる脾腫を伴った髄外造血のメカニズムについて詳細な検討を行った。過剰発現4週後の脾臓では、造血幹細胞を含む造血前駆細胞、単球、顆粒球、赤芽球系細胞、巨核球の有意な増加が認められたが、リンパ球系細胞には変化は観察されなかった。そこで、過剰発現初期の変化について解析した結果、Tlx1発現細胞におけるSCF, CXCL12, Angiopoietin 2, M-CSFなどの造血制御因子の発現が有意に上昇しており、また、造血前駆細胞の骨髄から末梢血への移動、脾臓への選択的な移入ならびに脾臓での増殖が有意に亢進していることが判明した。LPS投与に伴う髄外造血においても、脾臓におけるTlx1の発現が有意に増加することから、脾臓における髄外造血にはTlx1発現細胞におけるTlx1の発現上昇が関与していることが示唆された。さらに、脾臓ストローマ細胞ならびに胎仔線維芽細胞にin vitroでTlx1を過剰発現させ、骨髄造血前駆細胞を共培養した結果、Tlx1過剰発現胎仔線維芽細胞では造血前駆細胞の生存維持は認められなかったが、脾臓ストローマ細胞は有意に造血前駆細胞の生存を維持することが判明した。以上の結果から、Tlx1発現間葉系細胞は脾臓の主要な造血前駆細胞ニッチであることが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
転写因子Tlx1の時期・細胞特異的欠損マウスを作成できたことで、過剰発現マウスと比較解析することが可能になり、脾臓における髄外造血の分子機構をTlx1の欠損ならびに高発現という両面から検証できる体制が構築できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
作成したTlx1の時期・細胞特異的欠損マウスを用いて、LPS投与などによる既存の髄外造血誘導モデルにおけるTlx1ならびにTlx1発現細胞の役割について研究を行う。
|
Research Products
(14 results)