2017 Fiscal Year Annual Research Report
Identification of genes responsible for mutants caused by chromosome aberration
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16H05050
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
佐原 健 岩手大学, 農学部, 教授 (30241368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安河内 祐二 国立研究開発法人農業生物資源研究所, その他部局等, 主任研究員 (50355723)
伊藤 克彦 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (80725812)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 染色体 / BAC / カイコ / 相互転座 / 逆位 |
Outline of Annual Research Achievements |
カイコを用いた研究のうち相互転座に関して、FISH解析から特定できた第6染色体相互転座部位をブリッジするBACクローン配列情報をもとにr52系統の相互転座染色体ホモ個体(胚致死)と正常染色体を少なくとも1組もつ個体との比較PCRスクリーニングを行い原因配列部位の絞り込みを行った。ターゲット領域に214bpの欠失が発見されたほか、逆位と重複の可能性が強く示唆された。相互転座部位は、欠失領域付近であると考えられるものの、これら領域に構造遺伝子は存在せず、また、転座相手の第7染色体のPCR特定には、同程度の時間がかかると考えられた。 黒蛾(Black moth: Bm)系統u41の逆位は、第17染色体の末端までは及んでいないことが明らかとなった。現在までに既知となっているBACコンティグ情報から、proximal末端側の逆位点は、530Kbまで絞り込めた。また、ブリッジBACが特定できている内側は、逆位点に4Kb程度と迫った可能性がある。しかしながら、未検討の配列が33Kb残されている。オオシモフリエダシャクで工業暗化の原因と推定されたcortexのカイコオルソログのmRNA発現を比較したところ、翅原基では逆のパターンを示した。カイコで黒色化が開始される眼点着色初期には、Bm個体でのmRNA発現が高い傾向が認められた。 ヨーロッパアワノメイガに関して昨年度、Z染色体上のカイコ遺伝子オルソログを持つBACをプローブとしてFISHマッピングを行い、カイコゲノム情報との対応関係を明確にした。また、ヨーロッパで利用するフェロモンの相違がはっきりとしている2つの系統(Z系統とE系統)についてこれらを比較した。これまでのところ逆位は認められていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り、「NBRPカイコ」等を通じて入手したカイコ系統を用いた研究を進捗させた。相互転座系統に関する研究では、昨年度に実施したBACコンティグのシークエンス情報をもとに、相互転座染色体ホモ個体(胚致死)と正常染色体を少なくとも1組もつ個体との比較PCRスクリーニングを行い原因配列部位の絞り込みを行った。ターゲット領域に214bpの欠失が発見されたほか、逆位と重複の可能性が強く示唆された。 黒蛾突然変異の原因と考えられる逆位については、u41黒蛾(Black moth: Bm)系統の逆位が、第17染色体の末端までは及んでいないことを明らかとした。こちら側の逆位点は、530Kbまで絞り込めた。また、ブリッジBACが特定できている内側は、逆位点に4Kb程度と迫った可能性がある。 ヨーロッパアワノメイガに関しては、Z染色体上のカイコ遺伝子オルソログを持つBACをプローブとしてFISHマッピングを行い、カイコゲノム情報との対応関係を明確にした。また、ヨーロッパで利用するフェロモンの相違がはっきりとしている2つの系統(Z系統とE系統)についてこれらを比較したところ、逆位は認められていない。 以上の通り研究は概ね順調に進捗していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
相互転座をもつカイコ突然変異形質の原因となっている第6染色体配列の候補における欠失をPCR特定できた。しかしながら、逆位や重複が予測され、また、PCR法では全容解明にさらなる時間を要することが予測される。そこで、本年は、長鎖配列の決定が可能なPacBioなどの次世代シークエンサーによる長鎖の配列決定を行い、これまでのデータと併せて結論を得る。 黒蛾の原因と考えられる候補遺伝子の発現変動時期が程度特定できていたが、さらなる発現解析からは、候補遺伝子が原因であることの確証が得られなかった。そこで、u41系統を中心に逆位領域の特定と候補遺伝子のノックダウン実験を行ったが、結論を得ることはできなかった、本年は、黒蛾系統の逆位点を特定すると共に、他の遺伝子候補を加えて、ノックダウン実験と発現解析を行い、黒蛾の原因遺伝子を特定する。 ヨーロッパで採集され、利用しているフェロモンの相違がはっきりとしている2つの系統ヨーロッパアワノメイガ系統(EとZ系統)について染色体組換え価が0となる領域を含む領域のBACによるFISHマッピングを行ったところ、双方に逆位の関係が発見されなかった。本年度は、検討領域を拡大して逆位の有無に結論を得る。
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Research Products
(10 results)