2017 Fiscal Year Annual Research Report
「農」を用いたコンパクトシティの土地利用整序を実現する新たな中間組織の解明
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16H05062
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横張 真 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (60302379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺田 徹 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 講師 (00619934)
渡辺 貴史 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科(環境), 教授 (50435468)
二宮 咲子 関東学院大学, 人間共生学部, 講師 (50596070)
雨宮 護 筑波大学, システム情報系, 准教授 (60601383)
飯田 晶子 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任助教 (90700930)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 緑地計画 / 農的活動 / 参加型まちづくり |
Outline of Annual Research Achievements |
H29年度の研究実績は以下の5点である。 1)北米4都市(ニューヨーク、デトロイト、クリーブランド、トロント)において都市農業に関わる現地調査を実施し、各都市の自治体及び研究者にインタビューを行った。また、ニューヨークおよびH28年度調査済のロンドンの事例について、背景、現状、波及効果等をまとめて報告した(寺田2018、飯田2018) 2)株式会社マイファームと共同で行ったアンケート調査の結果を分析し、企業が提供する農作物栽培に魅力を感じる都市住民の特性を明らかにした(雨宮・寺田・渡辺・西辻・横張2017)。また、ドイツの多文化共生ガーデンの事例について成果発表を行うとともに(雨宮・渡辺・新保2018)、筑波大学内において多文化共生ガーデンの運営を試行した 3)大都市における地震災害時のローカルな農作物およびそれによる栄養供給可能量を、東京都練馬区をケーススタディとして解明するとともに(Sioen, Sekiyama, Terada, Yokohari 2017)、同様の評価を東京都全域で行い(Sioen, Terada, Sekiyama, Yokohari 2018)、「農」を用いたコンパクトシティ形成に向けた基礎的知見を得た 4)「農」に関わるまちづくりと景観誘導を結びつけることが期待される景観まちづくりガイドラインに係るスキームを検討した。具体的には、ガイドラインの法制度に占める位置付け、策定体制の構築方法、策定の進め方、掲載すべき情報、運用方法等を検討した(渡辺・安武2017) 5)中間組織の特性について、中間組織の概念や定義にかかわる論究について、学術分野を限定せずに網羅的な文献資料調査を実施した。また、農的活動にかかわる中間組織をめぐる既往の研究について到達点及び課題を解明し、あるべき中間組織の構造や機能について解明するための予備的な文献資料調査を実施した
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた国外先進事例調査はH29年度にて概ね終了し、本研究の中核となるデータの取得をほぼ完了することができた。国内事例についても、昨年度に引き続き株式会社マイファームに関する研究成果を発表するなど、民間企業が中間組織として機能する事例については十分な分析を行うことができた。また中間組織をめぐる研究会を、関連自治体関係者や民間企業、NPO関係者等をメンバーとして5回開催し、さらに「農」とまちづくりに関する座談会を、関連学会の協力のもと2回開催することで、産官学民それぞれの視点から「農」に関連する中間組織について分析考察を行うことができた。中間組織の概念や定義に関わる既往の論究の問題点や、あるべき中間組織の構造や機能の解明については、やや検討が遅れており、次年度の重要課題としたい。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(H30年度)は最終年次であるため、以下のように成果のとりまとめを行う。 1)これまで調査を行った中間組織に関わる国外先進事例について比較研究を行い、中間組織の特徴と各国の違いを明らかにするとともに、日本への展開可能性について考察する 2)アジアの国外先進事例が不足しているため、台湾における都市住民による農的活動および中間組織の実態について調査を行い明らかにする。具体的には、文献レビューとともに、有識者へのヒアリング、現地での情報提供者の紹介、現地踏査を行う 3)国内のまちづくりに展開可能な事例として、筑波大学内における多文化共生ガーデンの運営を継続し、成果を評価する。また、住宅地開発と共に共有地ととして農園を位置付け、住宅地管理会社が住環境マネジメントの一環として整備・運営を行う事例について、実施スキームを調査する。また、法制度の改正方向の提示に向けて、「農」に関わるまちづくりと景観誘導の連携に寄与するスキーム構築に関係する法制度および政策の体系的な整理を行う 4)中間組織のひとつの形式として「協同組合」に注目し、全国各地・世界各国から視察団が訪れる神奈川県の秦野市農業協同組合を対象として、構造や機能を明らかにする。組合幹部のみならず農園所有者や利用者への聞き取り調査を行い、「協同組合」が中間組織として、土地利用整序を実現する農的活動に果たしている役割・機能について考察する 5)以上について、昨年度に引き続き農的活動に寄与する中間組織にかかわる研究会にて成果発表を行うとともに、これまでの研究会での検討内容も含めて、3年度分の成果として冊子にとりまとめる
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