2017 Fiscal Year Annual Research Report
電子環状反応を基盤とする多置換中員環の立体制御合成と生物活性分子創製
Project/Area Number |
16H05073
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高須 清誠 京都大学, 薬学研究科, 教授 (10302168)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 明 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (50300893)
山岡 庸介 京都大学, 薬学研究科, 助教 (60624723)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | シクロブタン / シクロブテン / 面性不斉 / シクロプロパン / シクロブタノン / ヘリセン / 新規反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
面性不斉を有するtransシクロアルケンの合成: 縮環シクロブテンを基質として電子環状反応と脱シリル化、アルキル化を連続して行うことで、面性不斉を有するtransシクロアルケンを効率的に合成する方法を確立した。不斉記憶型の不斉転写を活用し光学活性シクロアルケンを得る方法や、含窒素中員環の合成にも成功した。反応機構の解析も実施した。 シクロアケンカルボン酸からシクロブタノンの変換: シクロアルケンの分子ひずみの解消を駆動力として、不飽和カルボン酸から脱炭酸を伴うケトンへの変換法を明確にした。Curtius転位と水和反応を連続的に行う必要があるが、そのための反応条件を最適化し、シクロブタン環の開裂などの副反応の抑制に成功した。 αシロキシシクロブタノンからシクロプロパンへの異常環縮小転位: ひずんだ四員環から、さらにひずんだ三員環への異常転位反応を発見した。これを利用し、ひずみ構造を含むアミノ酸類縁体やヒドロキシカルボン酸の合成法を明らかにした。また、本法を拡張することでデヒドロアミノ酸の幾何選択的合成法の基盤を構築することができた。 ねじれたπ平面をもつ多環芳香族炭化水素の合成: 塩基介在型分子内[2+2]環化付加反応を利用し、ジベンゾシクロブテン類の合成法を確立した。これをラジカル条件に付すと逆[2+2]環化付加が進行し、形式的にメタセシスが進行することを明らかにした。これを利用し、ヘリセンなどの湾曲したπ平面を有する多環芳香族炭化水素に応用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
シクロブテンの合成は当初の計画に従い進んだが、その過程で異常な転位反応やメタセシス反応を見出すに至った。それを応用し、あらたな生物活性化合物や有機材料の合成法に展開することができたから。これらの成果を基盤に新たな共同研究が3件開始された。
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Strategy for Future Research Activity |
触媒的不斉反応の開発 これまでに開発した反応では、Pdが触媒として反応促進をしているため、不斉リガンドを用いれば中間体(面性不斉のラセミ化が遅い場合)から生成物への変換で1の速度論的光学分割が期待できる。本法を利用して、光学活性シクロブテンの新たな合成法を開発する。また、ラセミ化がPd触媒反応より早い場合(員数nが大きい場合)、動的速度論的分割が期待できるためこの検討も実施する。 生物活性天然物の合成 これまでの研究を継続し、抗腫瘍活性や植物成長活性を示すアルカロイド、テルペンの合成を達成する。また、合成品については活性評価を行う。 ナノグラフェンノ合成と機能評価 シクロブタンを基質とするフルオランテン合成を拡張し、アズレンを含むナノグラフェンの合成を実施する。アズレンは双極子を有する芳香環であるが、構造的にはナフタレンの類似体である。この性質を組込んだナノグラフェンの機能は未知であり、共同研究を組織して新規材料創製を目指す。
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Research Products
(14 results)
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[Book] 薬学研究2017
Author(s)
藤多哲朗、高須清誠
Total Pages
170
Publisher
東京化学同人
ISBN
9784807917228
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