2016 Fiscal Year Annual Research Report
多様性拡大抽出物を活用した薬理活性志向型天然化合物類縁体ライブラリーの構築
Project/Area Number |
16H05093
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大島 吉輝 東北大学, 薬学研究科, 教授 (00111302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大坂 一生 北陸先端科学技術大学院大学, ナノマテリアルテクノロジーセンター, 講師 (90550244)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 多様性拡大抽出物 / 生薬 / 天然物類縁体 / 化合物ライブラリー / 薬理活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では天然資源の抽出物に対して直接,化合物の分子骨格を変化させる反応を行うことで得られる”多様性拡大抽出物”を活用することで,高度な構造多様性と薬理活性を示す可能性の高い構造を併せ持つ,薬理活性を指向した天然物類縁体ライブラリーの創出を目的としている.薬理活性を示す可能性の高い化合物群として,モノテルペンインドールアルカロイド型化合物の創出を行った. 具体的には,原料としてイリドイド配糖体を多く含む植物(サンシュユ,クチナシ,ジオウなど)を用い,それらの抽出物に対して,β-グルコシダーゼを作用させて脱グルコシド化した.さらにルイス酸触媒存在下,tryptamineを作用させることで,Pictet-Spengler型に縮合した化合物群を含む多様性拡大抽出物を得た.これを分離・精製した結果,12種の非天然型骨格を有するモノテルペンインドールアルカロイド類縁体を得た.これらの化合物の中には,新規五環性骨格あるいは新規六環性骨格を含む化合物もあり,多様性拡大抽出物を用いた手法が,新規骨格を有し構造多様性に富んだ化合物群を得る有用な手段であることを改めて明らかにした. 得られた化合物について広範な薬理作用に関するスクリーニングを行った結果,新たながん治療法として注目されている免疫チェックポイント阻害作用(CTLA-4発現抑制作用・IL-10産生抑制作用)を示す化合物5種を見いだした.生薬サンシュユの成分である loganin と tryptamine との縮合によって得られた化合物は特に強い活性を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多くの構造多様性の高いモノテルペンインドールアルカロイド型化合物を取得し,その中から生物活性物質を見いだすことができた.本研究の目的である「高度な構造多様性と薬理活性を示す可能性の高い構造を併せ持つ,薬理活性を指向した天然物類縁体ライブラリーを創出する」という観点では十分な成果を出したといえる.したがって,本研究は順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画にもとづき研究を推進していく.多様性拡大抽出物を利用したモノテルペンインドールアルカロイド型化合物群の創出については,tryptamineの異性体を利用した ‘Iso-Pictet-Spengler’型反応を試み,今年度に得られた化合物とは異なる分子骨格を含む化合物を多数取得すること目指す.また得られた化合物の生物活性スクリーニングについては,当初の研究計画のように,東北大学が推進している創薬等支援技術プラットフォーム「東北大学アカデミア発創薬拠点事業」において実施されているハイスループットスクリーニング等により広範な薬理作用を検討するとともに,免疫チェックポイント阻害に関連した生物活性試験を重点的に行っていく.
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