2017 Fiscal Year Annual Research Report
薬剤耐性菌制圧に向けた天然物から創薬リードへの変換研究
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16H05097
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
市川 聡 北海道大学, 薬学研究院, 教授 (60333621)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 抗菌剤 / 薬剤耐性 / 天然物 / 有機合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
以下の4つのクラス(A~D)の天然物について、誘導体合成を進めるとともに、各種生物活性評価を順次行い、構造活性相関研究へとステージを移行した。 A.ムライマイシンについては、スピロ型誘導体の合成を検討し、コア構造を得る事が出来た。スファエリミシンについては、不斉辻-Trost反応と分子内2連続還元的アミノ化反応により、高度に縮環したコア構造を構築する事ができ、8つのジアステレオマーのうち、2つのスファエリミシンコア構造の合成を達成した。さらに、生物活性に必須と考えられる脂溶性側鎖としてパルミトイル基を有する誘導体を合成し、そのMraY阻害活性を検討したところ、一方のジアステレオマーが強力なMraY阻害活性を有する事を明らかにした。 B.固相合成によりパシダマイシンの誘導体5個を合成した。抗菌活性を評価したところ、N-、C-末端ともにm-L-チロシンを有する誘導体が、親化合物に比べて、約2~4倍強い抗緑膿菌活性を示す事を明らかにした。 C.プラスバシンが有する2つのヒドロキシアスパラギン酸残基をアスパラギン酸に置換した誘導体を合成し、抗菌活性を評価したところ、活性が消失する事がわかった。各種構造解析や分子動力学計算による考察を行い、2つのヒドロキシアスパラギン酸のヒドロキシ基が、活性配座を保つのに重要な役割をはたす事が示唆された。 D.15個のコリスチン誘導体を合成し、抗緑膿菌活性を評価した。その結果、ジアミノブタン酸残基は、抗菌活性に重要な影響を与える事がわかった。ほとんどのアミノ酸残基の置換は、抗菌活性を低下させたが、ジアミノブタン酸の一部をジメチルアミノブタン酸に変換しても抗菌活性は減弱しない事がわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画のとおり、4つのクラスのベース化合物の合成を達成し、誘導体合成を進めるとともに、各種生物活性評価を順次行い、構造活性相関研究へとステージを移行する事ができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
更に各種生物活性評価を順次行い、構造活性相関研究を移行する。いずれの化合物も、抗菌活性・HepG2細胞(もしくはヒト腎臓由来細胞)を用いた細胞毒性評価・血中タンパク質の結合能・代謝安定性を含む薬物動態(PK)に関する評価をそれぞれ行う。活性が保持した化合物に関しては、活性を向上すべくさらに誘導体を合成し、良好な活性プロファイルを有する化合物が創出できた場合は、マウスを用いたin vivo活性試験を検討する。また同時にプローブ分子を調製し、ターゲットの分子機構や天然物の作用機序の詳細解明を目指したケミカルバイオロジー的アプローチも行う。A,Bに関しては、MraYとの複合体解析も積極的に行い、論理的な薬物設計を行う。
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Research Products
(15 results)