2019 Fiscal Year Annual Research Report
Design, synthesis and application of fluorescent probes for the studies of drug discovery and medicine
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16H05099
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
花岡 健二郎 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 准教授 (70451854)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 薬学 / 分析科学 / 生体分子 / 分子認識 / 有機化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、研究代表者らがこれまでに確立してきた蛍光プローブのデザイン・合成の技術を「創薬・臨床医学の研究分野」を出口として応用することを目指し、① 低酸素環境を検出する蛍光プローブの開発とその応用、② グルコーストランスポーター(GLUT)を介して細胞内に取り込まれる蛍光プローブの開発と応用、③ 硫化水素(H2S)及びサルフェン硫黄の産生酵素に対する阻害剤の探索、の3つの研究を行っている。これによって、疾患の蛍光イメージングの分野及び、蛍光プローブを用いた疾患関連酵素の阻害剤ハイスループットスクリーニング(HTS)の研究分野を大きく進展させることを目指す。 平成31年度までの研究により、①については低酸素近赤外蛍光プローブazoSiR640を完成させた(Chem. Commun., 54, 6939 (2018))。②については、GLUTを介して細胞内に取り込まれるactivatableな蛍光プローブの基礎骨格を開発することに成功した(Bioorg. Med. Chem., 27, 2122 (2019))。③については、硫化水素(H2S)及び活性硫黄分子の産生酵素である3-mercaptopyruvatesulfurtransferase (3MST)の選択的阻害剤の開発に成功している(Sci. Rep., 7:40227 (2017))。 さらに平成31年度は、平成30年度に開発した蛍光プローブや酵素阻害剤を国内外の生物学に従事する共同研究者に提供し共同研究することで、本プローブの臨床医学における有用性を検討した。例えば具体的には、これまでに研究代表者らが開発したH2S検出蛍光プローブ HSip-1 (J. Am. Chem. Soc., 133, 18003-18005 (2011))やサルフェン硫黄を検出する蛍光プローブ(Chem. Commun., 53, 1064-1067 (2017))を米国の研究者へと提供・ディスカッションすることで、活性硫黄分子種の生体内での代謝に関わる医学的な役割の解析に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成31年度までに、当初掲げていた3つの研究について達成することに成功している。具体的には、①については低酸素近赤外蛍光プローブazoSiR640を完成させた(Chem. Commun., 54, 6939 (2018))。②については、GLUTを介して細胞内に取り込まれるactivatableな蛍光プローブの基礎骨格を開発することに成功した(Bioorg. Med. Chem., 27, 2122 (2019))。③については、硫化水素(H2S)及び活性硫黄分子の産生酵素である3-mercaptopyruvatesulfurtransferase (3MST)の選択的阻害剤の開発に成功している(Sci. Rep., 7:40227 (2017))。現在、それら開発した蛍光プローブや酵素阻害剤、更には関連する独自に開発した蛍光プローブを用いて、生物学研究への応用を行っている。そのため、コロナによる学会中止などによる研究遂行の遅延はあったものの、(1)当初の計画以上に進展している、とさせて頂いた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、当初の計画通りに研究を遂行する。具体的には、開発した蛍光プローブ及び選択的阻害剤を大量合成し、それを用いて活発に国内外の研究者と共同研究を行い、開発した蛍光プローブ及び選択的阻害剤の生物学的な及び臨床医学的な有用性を検討していく。
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