2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of tumor-selective drug based on synthetic lethal strategy by overcoming oxidative stress tolerance of cancer
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16H05102
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
永澤 秀子 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (90207994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平山 祐 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (10600207)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 酸化ストレス / がん / 創薬 / 鉄レドックス変動 / 蛍光イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
1. がん微小環境における酸化ストレス因子としての鉄レドックスの解析:新たに赤色蛍光を有する二価鉄蛍光プローブを開発した。これを用いて、がんの低酸素ストレス下における細胞内鉄レッドクス変動の可視化を試みた。HepG2細胞を1%、5%及び20%酸素下で培養し、上記のプローブで処理して蛍光イメージングを行ったところ、酸素分圧および低酸素処理時間に依存して蛍光強度が増強し、これは二価鉄キレーターのbipyridyl存在下では抑制された。一方、細胞内総鉄イオン量は変化しないことから、環境の酸素分圧変化に応じた細胞内のレドックス変動に、鉄イオンの酸化還元状態が関与していることが示唆された。また、低酸素で何らかの細胞内鉄イオンプールから二価鉄イオンが放出されることが予想された。 2. Erastin誘導型フェロトーシスにおける鉄レドックス変動の解析:ras変異細胞のHT1080及び野生型のMCF7細胞をerastinで処理して、鉄依存的細胞死(フェロトーシス)を誘導した。新たに開発したミトコンドリア、リソソーム及び小胞体局在型の二価鉄蛍光プローブミックスを用いて、二価鉄多色イメージングを行ったところ、erastin処理後、数時間でHT1080細胞では各小器官における蛍光強度の増大が認められ、これはDFO存在下で抑制された。一方、MCF7細胞では蛍光増強も細胞死も認められなかった。以上により、erastinによってras変異細胞で特異的に二価鉄が誘導され、それに続いて細胞死が引き起こされることが明らかになった。 3. 二価鉄誘導を指標とするHTSスクリーニング:3400化合物のライブラリーについてHepG2細胞細胞を用いて、二価鉄蛍光プローブによるHTSを行い複数の二価鉄誘導性または抑制性のヒット化合物が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は主に、新たに開発した二価鉄特異的蛍光プローブを基盤技術とするがん微小環境ストレス応答やras変異特異的な細胞死の機構解析を行った。結果、微小環境における酸化ストレス更新に鉄レドックス変動が関与していることが明らかになった。ras変異がん細胞で特異的に誘導される細胞死の機構に関する新たな知見も得られた。以上の成果により、おおむね順調な進捗と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、当初の計画にある創薬化学研究に比重を移し、フェロトーシスを介した合成致死誘導剤の開発、酸化ストレスの増強又はストレス耐性の解除に導くがん治療薬または放射線・化学療法増感剤の開発、微小環境で特異的に活性化されるプロドラッグの開発等を進める。また、ライブラリースクリーニングで得られたリード化合物の詳細な活性評価と構造展開についても検討したい。
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Research Products
(20 results)