2017 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロンタイプ特異的遺伝子操作による中枢概日ペースメーカーの動作原理の解明
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16H05120
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
三枝 理博 金沢大学, 医学系, 教授 (20296552)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 概日リズム / 体内時計 / 視交叉上核 / バソプレシン / 血管作動性腸管ペプチド / 遺伝子操作マウス / GABA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、中枢概日ペースメーカー・視交叉上核(SCN)の神経ネットワークが、強固で安定した概日リズムを発振するメカニズムを、ニューロンタイプ特異的な遺伝子操作を用いて明らかにすることを目的としている。 本年度は、AVPニューロンとVIPニューロンの両方でBmal1を欠損したマウス(細胞時計を欠損したマウス)、および両方でcasein kinase 1 delta (CK1d)を欠損したマウス(細胞時計の周期が延長したマウス)を作成し、AVPニューロン、VIPニューロン単独での遺伝子操作と比較したが、AVPニューロンだけで欠損したマウスとフェノタイプは大きく変わらなかった。SCNによる概日リズム発振、概日周期決定において、AVPニューロンが主要な役割を果たしていると考えられる。AVPニューロン特異的Bmal1欠損マウスのSCN・AVPニューロンでは、細胞内Ca2+濃度の変動リズムが著しく減弱していることが、スライスの実験から明らかになった。また、SCNスライスでのAVPニューロン、VIPニューロンの電気生理学的な解析を行っており、AVPニューロンにおけるIPSCの振幅に日内変動が見られることや、AVPニューロンの静止膜電位形成のイオンメカニズムの一端を明らかにした。さらに、逆行性経シナプストレーサーを用いた、SCNのAVPニューロン、VIPニューロンの上流ニューロンの網羅的検索も進めており、今後さらに例数を増やして詳細な解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ研究計画の通りに、研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
SCNスライスでのAVPニューロン、VIPニューロン、さらにGPニューロンについて、その電気生理学的特性の解析を継続する。また、概日行動リズムに異常の現れるAVPニューロン特異的Bmal1欠損マウスのSCNスライスにおいて、AVPニューロンの電気生理学的性質がどのように変化しているか、29年度の結果を基にさらに詳細に解析する。また、ファイバーフォトメトリーを用いて、in vivoでAVPニューロンの活動(細胞内Ca2+濃度)の変動を計測する。さらに、変異型狂犬病ウイルス・逆行性経シナプストレーサーを用いた、SCN・AVPニューロン、VIPニューロンに投射する上流ニューロンの網羅的検索についても、29年度に引き続き30年度も継続する。
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