2016 Fiscal Year Annual Research Report
TET-Offマウスを用いたHCN4の洞房結節における新たな機能の解明
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16H05124
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
鷹野 誠 久留米大学, 医学部, 教授 (30236252)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 洞房結節 / 過分極誘発陽イオンチャネル / 心拍数変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
テトラサイクリン遺伝子発現システムを使って心臓洞房結節に特異的に存在する過分極誘発陽イオンチャネルHCN4の発現量を増加させた遺伝子改変マウス(OEx)と、可逆的に抑制できるマウス(KD)を作成した。これらのマウスでのHCN4発現量変化を定量的PCR、ウエスタンブロット、電気生理学的に確認した。 OExおよびKDにおける洞房結節機能を検討するために、これらのマウスに心電図テレメトリーを植え込み、12時間ずつの明暗サイクル下に飼育した。24時間自由行動心電図を記録し、心拍数変動を解析したところ、KDにおいては明期=安静期に顕著な徐脈と洞性不整脈が観察された。暗期=活動期ではKDの心拍数は野生型動物と大差ない心拍数の分布を示していた。一方、OExでは暗期、明期ともに心拍数変動の幅が低下していた。 ポアンカレプロットやフーリエ解析でも心拍数変動の低下がみられ、とりわけ迷走神経刺激によって生じる変動成分の低下が顕著であった。この成因を調べるために、吸入麻酔下に頚部迷走神経の電気刺激を行い、誘発される徐脈の程度を比較した。その結果、KDでは完全な心停止が生じた。OExでは野生型と有意差はなかったが、βアドレナリン受容体刺激を行った後では、OExでの徐脈反応は有意に減弱することが判明した。これらの結果から、HCN4は迷走神経刺激による徐脈応答を緩衝する作用があり、心拍数変動を安定化する作用があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トランスジェニックマウスの機能評価 心拍数変動制御におけるHCN4の新たな機能を発見することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
HCN4の機能抑制によって、洞房結節から周囲の心房筋への興奮伝導がどのように変化するか、光学的に検討する。この実験を推進するにあたり、膜電位感受性色素やCa感受性色素を励起するためには、蛍光強度の変動が極度に低い光源を使用することが必須である。そのために必要な予算を申請した。 HCN4の過剰発現による心拍数変動低下は、中枢神経におけるHCN4過剰発現の影響を受けている可能性を除外できない。そこで心臓特異的にHCNチャネルを過剰発現したマウスを新たに入手し、in vivoでの実験を開始する。
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