2017 Fiscal Year Annual Research Report
Optogenetic study of the brain circuits for defense response
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16H05130
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
桑木 共之 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (80205260)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 神経科学 / ストレス / 生理学 / オレキシン / セロトニン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はストレス防衛反応の脳内回路の詳細を、光遺伝学の利点を生かして神経伝達物質や神経回路特異的に解明することである。そのために以下の実験を行った。 (1)オレキシンニューロン特異的にカルシウム感受性蛍光タンパク質のGCaMPを発現させたマウスを作成してストレス刺激(縄張り侵入者、捕食者の臭い、超音波警戒音、絶食)刺激を行った。ストレスによって心拍数と体温が増加するのに先立ってオレキシンニューロンが活性化されることが確認出来た。すなわち、オレキシンニューロンの活性化はストレス誘発自律反応の原因になっていることが確認された。 (2)オレキシンニューロン特異的に光によって神経活動を活性化させることの出来るチャネルロドプシンを発現させたマウスを作成して摂食量の測定を行った。オレキシンニューロンの活性化によって摂食量の増加が確認された。投射先の1つである島皮質のオレキシン神経終末の活性化によっても摂食量が増加した。この実験系を用いることで投射先におけるオレキシンの機能を明らかにすることが出来た。また、ストレスによる摂食障害にオレキシンの過活性化が関与している可能性が示唆された。 (3)セロトニンニューロン特異的に光によって神経活動を抑制させることの出来るアーケオロドプシンを発現させたマウスを作成して縄張り侵入者試験を行った。延髄縫線核のセロトニンニューロンの抑制によってストレス誘発心拍数上昇は抑制されたが体温上昇は抑制されなかった。すなわち、心拍数と体温の出力経路は別々の脳内回路であることが明らかになった。 (4)オレキシン受容体阻害薬によって誘発した睡眠時にはストレス誘発覚醒反応がほぼ正常に保たれていることを発見した。これは従来のベンゾジアゼピン系睡眠薬には無い特徴であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験動物生体を対象にした研究なので個々の実験には時間がかかるものの、着実に進展している
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Strategy for Future Research Activity |
オレキシンとセロトニンに加えてドーパミン神経に関してもストレス応答への関与を検証する予定である。神経伝達物質3種類に加え、観察するストレス応答(循環・呼吸・体温・行動)も複数有り、更に光遺伝学の手法にも光による活性化・抑制・神経活動の計測という3種類がある。多くの組み合わせの実験を1つ1つ着実に進めて全体像の解明に迫りたい。
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Remarks |
研究室独自ホームページ
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